呪い.jp 魔法のiらんど文庫

上村あかり(著者)

• 販売会社／発売会社: KADOKAWA
• 発売年月日: 2015/01/01
• JAN: 9784048692601

商品レビュー

2023/09/24

SNS上で知り合った愛という人物から、ある動画を観て以降心霊現象に悩まされているとの相談を受ける。突拍子も話を信じられない雫は当たり障りない返事を返すが、その時話題に上った動画が雫の生活を一変させていくのであった。

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数日前に読んだ怨ラインゲームの同作者の作品。こちらは第２作目とのこと。SNS上に突如現れた「死の動画」という悪趣味な動画をめぐる携帯ホラー小説である。動画に収録されているのは、人の死体や、生きたまま体を傷つけられている人間の動画でありかなりグロテスクな内容となっている。
そして、グロテスクなだけでなく観たものは2人に回さなければ7日で死亡してしまうという呪いめいた文言が組み込まれている。昔流行った不幸の手紙のような雰囲気であり、動画自体はショッキングなものであるが、なんともまゆつば臭い。しかし、実際にクラスメイトに観たという人が現れ、その全てが謎の怪奇現象に悩まされているというのだ。動画を実際にみていない雫はこの騒動から免れていたが、親友の梓が動画を観てしまったことにより状今日は一変。親友を助けるために動画を視聴した雫であったが、待ち受けていた結末は雫が想像している以上のものであった。なかなか不条理と理不尽にまみれた作品だった。途中までは主人公である雫が見舞われる心霊現象に恐怖したものだが、徐々に明るみになる真相にびっくり。呪い系の携帯ホラー小説はある特定の人物、あるいは特定のグループを呪うために発信されるもので大体はうまく行く。
しかし、この話は一度は成功しかけたものの、逃げ道を作ってしまったがゆえに逃げ切られてしまい一番呪いたい相手には届かず、別の被害者がでるばかり。更に酷いことに大切な人まで毒牙にかかって失うという理不尽さ。状況は呪いをばらまく前より明らかに悪くなっていく。自分の浅はかな行為を深く後悔する発信者。自分が撒いた種とはいえこの結末はあんまりだったのでは無いだろうか。呪いが一番憎い相手に届かない、バットエンドの小説ははじめてだったのでかなり新鮮だった。
一番最初に作られたしの動画を作った意図が知りたかったかなぁ。発信者の動機は分かったが、動画に関してもう少し説明が欲しかったかなぁ。