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渡部雄吉写真集 張り込み日記
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渡部雄吉写真集 張り込み日記

渡部雄吉(著者), 乙一

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渡部雄吉写真集 張り込み日記

定価 ¥2,970

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 ナナロク社
発売年月日 2014/11/01
JAN 9784904292525

渡部雄吉写真集 張り込み日記

¥2,750

商品レビュー

4.3

8件のお客様レビュー

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2022/04/18

出先にて待時間潰しに入った図書館で、たまたま目に付きページを開いた。タイトルの『張り込みー』から松本清張を連想したけれど、内容はノンフィクション。実際に起きた事件の捜査風景が撮影されていて、読み終わったときには一本の映画を観たような気分になった。

Posted by ブクログ

2020/11/15

「罪の轍」の表紙から。どうして茨木県下バラバラ殺人事件合同捜査本部は渡部雄吉というカメラマンに捜査の写真を撮らせることを許したのだろう?この写真集の存在そのものがミステリーに感じました。先ずは実際の事件に同行するカメラの生々しい迫力に圧倒されます。二人の刑事が歩く昭和33年の東京...

「罪の轍」の表紙から。どうして茨木県下バラバラ殺人事件合同捜査本部は渡部雄吉というカメラマンに捜査の写真を撮らせることを許したのだろう?この写真集の存在そのものがミステリーに感じました。先ずは実際の事件に同行するカメラの生々しい迫力に圧倒されます。二人の刑事が歩く昭和33年の東京の街並み。映り込む人々の在り様。匂いまで伝わってくるような時代のシズルが捉えられています。そして、緑川刑事、向田刑事の顔、仕草、聞き込みを受ける市民の表情、捜査会議の警察内部の人々の存在感、登場人物全員のキャラの濃さにたじろぎます。緑川刑事を現代の俳優でキャスティングしようと思っても不可能な感じの渋さです。さらにはこの事件そのものが「新しい名前」を手に入れるため、という動機がこの時代の「らしさ」かも。「砂の器」や「飢餓海峡」との共通性を感じます。つまりは敗戦から13年経った日本の、実はまだ戦争のダメージを引き摺っている時代の匂いを蘇らせるタイムカプセルのような写真集なのです。「もはや戦後ではない」という記述のある経済白書が昭和31年ですが、昭和33年はまだまだ戦争が作り出したものが社会に溢れていたことを体感しました。きっと社会の空気の匂いが変わるのが昭和39年の東京オリンピックからなのではないでしょうか?

Posted by ブクログ

2020/09/02

若竹七海「錆びた滑車」巻末おまけ「冨山店長のミステリ紹介」のお勧め。昭和33年に茨城県で発生したバラバラ事件の捜査をする茨城県警と警視庁の刑事2人組に同行、彼らを撮影したカメラマン渡部雄吉の密着写真集。現代では絶対不可能な企画。 「ー滑車」読了日に試しに借りてみる。ひと目見ての...

若竹七海「錆びた滑車」巻末おまけ「冨山店長のミステリ紹介」のお勧め。昭和33年に茨城県で発生したバラバラ事件の捜査をする茨城県警と警視庁の刑事2人組に同行、彼らを撮影したカメラマン渡部雄吉の密着写真集。現代では絶対不可能な企画。 「ー滑車」読了日に試しに借りてみる。ひと目見てのめり込んだ。こんなのドキュメンタリーでも、もうあり得ない。本物のベテラン刑事(警視庁の方)が、ホントに小説に出てくるままに聞き込みの時はにこやかに、推理するときには苦虫を潰して歩いている。煙草でもうもうとした会議室。狭い部屋に20名が、いかつい顔を突き合わせて、ああでもない、こうでもないとメモに書きとる。丸こい湯飲み。二本の黒電話。電話がかかってくる(表紙の写真)。急いで咥えタバコでコートをはおる。ハンチング帽を被って外に出れば、都市化直前の幅広い道路にまばらな車の東京だ。下町を足で稼いで聞き込み捜査。店は未だ配給所の面影を残している。ヌカ一杯15円、小麦60円。飯場の立ち食い屋、一食10円均一。そこで出されているのは、雑炊とかスイトンとか。下町のうなぎ丼、天丼、餃子丼全部150円。笑顔のベテラン刑事。新米の茨城県警刑事は厳ついままだ。歩いて聴いてゆくのは、ドヤ街や旅館などの下町ばかりだ。路地で遊ぶ子供たち。女将さんがそのまま30年代の小さな旅館の女将さんみたいだ。演技じゃないんだ。捜査は水戸へ、または岐阜県へ。旅館で聞き出した容疑者の住所が岐阜県だったのである。しかし1ヶ月の聞き込みの結果、住所は偽りだという結論に至る。手がかりは遂に途絶えた。 ここまでが、写真集の約半分である。もう一度いう。これはまるでドキュメンタリー以上だ。刑事の頭を抱える苦悩も、本物だ。もう2度と撮れない。そしてまるで一冊の推理小説である。よってこれからの展開は、もう書かない。文章は乙一。2014年再刊の時に、ドラマチックに構成し直している。 「ー滑車」では、元刑事だった祖父へのクリスマス・プレゼントにと、古書店のお客が買った。ぴったりだ。きっと喜んだことだろうと思う。

Posted by ブクログ

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