日曜劇場 ごめんね青春！

宮藤官九郎(著者)

• 販売会社／発売会社: KADOKAWA
• 発売年月日: 2014/12/01
• JAN: 9784047316980

商品レビュー

2023/05/04

100冊ビブリオバトル@オンライン第11ゲームで紹介された本です。オンライン開催。
2020.08.22〜23

2015/02/20

　もし、仏教系男子校とカトリック系女子校が合併したら――。そんな、荒唐無稽とも思える設定で教師と生徒たちによる青春群像を描いた学園コメディドラマ。脚本は、国民的人気を博したＮＨＫ朝の連続テレビ小説「あまちゃん」後、初の作品となる宮藤官九郎。２０１４年10月から放送された全10話分の書き下ろしシナリオを収録している。

　主演は関ジャニ∞の錦戸亮。ヒロインの満島ひかりと共に両校の教師役を体当たりで好演。他にも個性的な俳優陣が脇を固め、マニアックなファン層をも獲得した。

　現実にはあり得ない合併のケースではあるものの、私立学校が経営難から宗教色を排する事例はある。あくまで娯楽作品であり、宗教上の違いがメインテーマになることはなかったが、合併した高校の校歌には「神に誓って知らぬが仏」「悔い改めて悟れよ自分」という文言があるなど、それぞれの特徴をうまく表現したネタが散りばめられていて楽しめる。

　シスターである女子校の校長は、合併に際して次のようなあいさつをする。「性別が違う、宗派が違う、成績が偏差値が違う。私達は何かと理由をつけてお互いを拒絶して来た。それは、汝の隣人を愛せよという神の教えに背くものです。信仰心が、信仰の妨げになっていたのです。でも生徒は違った。性別や宗教や成績の違いを、隣人の個性として認め、受け入れました……私達が越えられなかった壁を、軽々と乗り越えたのです」

　男子校の制服に違和感を持つ生徒が女装して登校するという、性同一性障害を扱った回もあり、男子校の理事長であるその父が葛藤しながらも受け入れていく様は必見。

　男女別学を推奨してきた宗教系私立学校に一石を投じる場面もあり、共学を考えるための教材としても活用したい。（松ちゃん）