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感情教育(下) 光文社古典新訳文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 光文社 |
発売年月日 | 2014/12/01 |
JAN | 9784334753030 |
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商品レビュー
4
4件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いや最後まで我慢やったやないかーい!(ビターン) 確かに後半は親友の裏切りから始まる怒涛の展開 しかしとにかくもう主人公が好きになれない つかもうはっきりと嫌い 内容よりも文学的表現に重きを置いたってことらしく、確かに心理描写とかすごくて、腹の底のところに黒い澱みたいなんが積み上がってく感じは流石っすとは思うけど… もうほんと主人公のフレデリックが凄いダメ男で、ダメなだけならいいんだけど、後半ものすごいスピードでクズっぷりが磨き上げられて 不快指数がガンガン上がってくのよ こういうお話ダメなんよな よし、今日はお休みだから、小僧どものためにあらすじとか書いちゃうよ! ネタバレしてるよ! 時は1840年パリ、革命が繰り返される不安定な情勢の中、主人公フレデリックは大学合格とともに上京、その途上美術商ジャック・アルヌーと出会いその奥さんアルヌー夫人に一目惚れ 何とかお近づきになるが、実家の資金が底をつき、母の待つ田舎に戻ることに、もんもんとする日々を過ごす中、資産家の叔父さんがなくなり遺産が手に入り、母子でガッツポーズ!今日はパーティーだぜ!葬式より先にパーティーするなや 揚々とパリに帰還したフレデリック、小金持ちになって調子のって無駄遣いしまくりですが、肝心のアルヌー夫人は身持ちが固くなかなか振り向いてくれません しかしどうやら夫人も自分のことを憎からず思っているようで、思いきってデートに誘うとなんとOK! うっひょーと逢引き用に部屋まで借りますが、いろいろあって夫人はデートに来ません 絶望したフレデリックは肉欲の塊になってアルヌーの愛人でもあった高級娼婦のロゼッタを口説き落とし、子どもまでつくっちゃいます そしてロゼッタに「結婚してくれるわよね」と聞かれると「もちろん!」と即答、もちろんしない 一方で上流階級の仲間入りの野望を抱き資産家のダンブルーズ夫人の情夫となります ダンブルーズ夫人の旦那さんが亡くなりダンブルーズ夫人に「結婚してくれるわよね」と聞かれ「もちろん!」と即答、もちろんしない はたまた田舎には隣に住むお金もちのロックさんの娘ルイーズと婚約しておりルイーズはフレデリックにベタ惚れで「結婚してくれるわよね」「もちろん!」もちろんしない三たび! ロゼッタに息子が産まれると「娼婦の子どもなんてかわいそうに…」といやいやいやあんたの子どもでもあるやで!なのに全然会おうともしない アルヌー夫人がデートにこれなかったのは子どもが病気になったせいと分かると真実の愛はあの人だけ!とまた近づこうとします 自分の子どもの病気はほったらかしで、ついには子どもは亡くなってしまいますが、悲しみにくれるロゼッタと子どもの亡きがらの隣で「アルヌー夫人今ごろどうしてるかなー」と考えてます しかし、奮闘むなしくアルヌー夫人がパリを去ってしまうと、自分ももうパリいいやとなって、あっさりロゼッタとタンブルーズ夫人を捨て、田舎娘だけどしゃーないルイーズと結婚するかーと田舎に戻りますが、なんとルイーズは親友のデローリエと結婚した後 でもってこのデローリエがフレデリックに負けず劣らずクズ、基本フレデリックにたかりまくりで、アルヌー夫人にはフレデリックが女性を口説きまくってること教えちゃうし、金目当てでルイーズと結婚するし、しかしクズ同士気が合うのかなんだかんだ最後まで親友のまま 最後はルイーズに逃げられたデローリエとフレデリックが二人あの頃は楽しかったねーと回想して終わりっていう なんじゃそりゃー!w 最後の最後までフレデリック自身は自分のこと純愛に生きる誠実な男という自己評価が腹立たしすぎて、名作が過ぎるわ!とある意味面白かったのかもねw
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「一瞬、まぼろしがたち現れたのかと思った」 アルヌー夫人との出会いが、強烈に印象深い、まるで時が止まったかのような、一文で描かれている。 私はこの一文が好き。 フレデリックは4人の女性と恋沙汰になるけど、結局1人だけを愛し続けていたし、人生思うようにならない歯痒さや時代に翻弄さ...
「一瞬、まぼろしがたち現れたのかと思った」 アルヌー夫人との出会いが、強烈に印象深い、まるで時が止まったかのような、一文で描かれている。 私はこの一文が好き。 フレデリックは4人の女性と恋沙汰になるけど、結局1人だけを愛し続けていたし、人生思うようにならない歯痒さや時代に翻弄される感じが泣けてしまう。 フランス革命、特に二月革命でナポレオン3世が第二共和国時代を立てた時代が、鮮明に描かれている。 後年アルヌー夫人へ愛を語る際、もはや情熱が無いことを意識しながらも自分の言ったことに酔うところも良い。 上巻はルイ・ナポレオンによるパリ大改造前のパリの詳細を描き物語はあまり進展しないのだが、下巻で一気に進み始める。 あっという間に読了してしまった。 フローベールはこの小説を、同じく二月革命を体験した同世代の人達に向けて書いたと言われている。昔のパリを懐かしく思う気持ちもあったろう。(私は衛生的な改造後のパリの方が好ましいけど) 19世紀の小説とは。 フローベールはやっぱり面白い。
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ついに…読み終えてしまった…!めちゃくちゃにおもしろくて、素晴らしい作品… ①ダンブルーズ氏の葬式における描写。 ・フローベールの死に対するあっけない滑稽な描きかた。『ボヴァリー夫人』でも死人の扱いはさっぱり、淡々と扱う。死にゆくまでの肉体的な苦しみは丁寧に描くものの、死そのも...
ついに…読み終えてしまった…!めちゃくちゃにおもしろくて、素晴らしい作品… ①ダンブルーズ氏の葬式における描写。 ・フローベールの死に対するあっけない滑稽な描きかた。『ボヴァリー夫人』でも死人の扱いはさっぱり、淡々と扱う。死にゆくまでの肉体的な苦しみは丁寧に描くものの、死そのものに対する厳かな目線はない。 「小石まじりの土がかけられた。これでもう、だれひとりとしてこの男のことなど気にかけないのだろう。」 という文章に見られるように、死んでしまえばおわり、という達観した死生観がみられる。⇔だからこそ、生きている間の滑稽なまでの生にしがみつく動き、がおもしろい ・葬式の「形式」を批判。参列した人はみな葬式のことなんてこれっぽっちもわかっておらず、口ぐちに俗物てきな話ばかりしている。 ②フレデリックのアルヌー氏化 フレデリックはアルヌー夫人に恋をし、はじめはそんなアルヌー夫人を妻としてもちながら外で遊び歩いているアルヌー氏を軽蔑している。しかし物語がすすみ、アルヌー夫人と思い通りの関係になれないと、むしゃくしゃして他の女性に手をだしてしまう。 まずフレデリックが手を出すのが、ロザネットだ。ロザネットは、もともとアルヌー氏の愛人だった。フレデリックはアルヌー氏への当てつけの意味もあり、ロザネットと関係を持つ。 その後も故郷のルイーズや、上流階級のダンブルーズ夫人など、さまざまにタイプのちがう女性にあっちへこっちへ気がおもむくままに手を出す。結局、四人の女性の間で身動きが取れなくなるが、フレデリックが最後に出会い、最後まで想いを寄せていた相手はアルヌー夫人であった。これはアルヌー氏も同じである。 しかし決して、フローベールはそんなフレデリックやアルヌー氏を非難しているとは思えない。 「どれほど心を開いたうちあけ話でも、相手にたいする気がね、思いやり、憐憫の情などから、かならず口にだせないことがあるものだ。相手の、もしくは自分の心のなかに懸崖や泥沼を見いだして、それ以上さきへ進むことができなくなる。話したところでとうてい理解してはもらえまいという気持ちになる。どのようなことであれ、それを的確に言いあらわすのは至難のわざだ。人と人との理想的な結びつきがめったに見られないのも、そのためである。」 から見られるように、人と人が一対一で完璧につながり合うことなど不可能であるのだ。フレデリックも、アルヌー夫人に寄せた恋心は本物であるが、相手が既婚者なため理想的な関係にはなれない。ほかの女性でも、ここはよくてもあそこは欠点だというように、完璧に好きになることができない。それが人間関係の当たり前のことだと、フローベールは理解していたのだろう。 それでも、最後にはアルヌー夫人と再度恋心を確認し合う、しかしその時にはアルヌー夫人の白髪をみて、フレデリックは一瞬幻滅してしまう。恋というもののもろさを暴き出し、そして最後にはデローリエとふたり、まだ恋というものを知らなかった、夢見ていたころ、友情こそが第一だったときを思い出して「あのときがいちばんよかった」と語り合うのだった。
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