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わたしがいなかった街で 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2014/12/01 |
JAN | 9784101376424 |
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わたしがいなかった街で
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商品レビュー
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時間や距離が隔たった場所の戦争によく思いを馳せる女性がいる。 なぜこの今が、ああではなくてこうなのか。あのとき少し駆け足をして電話に間に合っていたら、違う物語が展開していたのか。はたまたなぜ自分は他人ではなくて自分の中から世界を見ているのか。そんなこともよく考えている。 この砂羽...
時間や距離が隔たった場所の戦争によく思いを馳せる女性がいる。 なぜこの今が、ああではなくてこうなのか。あのとき少し駆け足をして電話に間に合っていたら、違う物語が展開していたのか。はたまたなぜ自分は他人ではなくて自分の中から世界を見ているのか。そんなこともよく考えている。 この砂羽という女性は人とのコミュニケーションは苦手なようで、生き辛さを抱えているように見える。この辺は非常によく分かる。 せっかくなので、引用してみる。 ”複数の人間が関わって、二重三重に暗黙の了解みたいなもので囲われた状況が苦手だ。それは三十六歳にもなって人の気持ちを考えられない、もしくは人づきあいのルールがわからない未熟な人間ということなんだとも思う。”(P.30) ”続きがない。1詳細を言う、2聞いてほしいと言う、3言わない、のいずれかを選んでほしい、と思う自分はコミュニケーション能力が欠如しており人の心がわからないということなのだろうか、と気が引けてしまう。”(P.31) ”なぜみんな、こんなふうに気軽に、素早く、なにかを伝えることができるんだろう、と思う。なにか伝えたいことが浮かんでも唐突で変に思われるかもとか、連絡していない別の友人が読んだら快く思わないのではとか、こういう返事が来たらその次はどう書こうとか、つい考えてしまって時間ばかりが過ぎるわたしにとっては、まるで、走っている電車に飛び乗るくらいに、難しいことに思える。”(P.66) ”この根拠の乏しい不安は、子供のころからの考え方の癖のようなもので、待ち合わせ相手が遅れたり近くにいる人が不機嫌なときにも、ほとんど自動的に浮かぶ。”(P.76) ”チューナーになってくれる人がいないとき、他人となにモードで話せばいいかわからない、と前に有子に説明したことを思い出す。”(P.101) ”わたしは、相手が言わないことは聞かないし、聞かれないことは言わないので、やっぱりそれまでと同じように話した。”(p.174) とても共感できるとともに、このあまりの解像度の高さは、筆者自身だ同様の感覚を持っている以外に考えられない。 ああ、それでこの作風、この文体か、となんとなく納得してしまう。文章が長くてくどいんだけど、分かりやすいくどさというか、すごくしっくりしながら読める。 砂羽には若い頃に通っていた写真教室の時の友人がいて、その一人の妹である夏が途中から主人公のように振る舞い始める。砂羽は急に熱中症になって病院に担ぎ込まれ、フェイドアウトしてしまう。ラストの美しい夕日と妙な火事の、何かカタルシスのようなシーンも夏が引き受ける。ちょっとびっくりするような構成だった。 もう一人、写真教室時代の友人で中井という非常に魅力的な登場人物がいるのだが、もう書ききれない。
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わかる、わかるけれどそんなになにもかも書いてしまう必要あるのだろうか、とも思う、けど夏の三人称一元視点に移るところ、そうして思いがけないかのじょの重たい過去がほのめかされるところはとてもよかった、「ここで、ここで」の終電から知らない街をながめるシーンすごく好き。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
主人公の砂羽は色々考えすぎて、人の目を気にしすぎて、まわりにうまく溶け込めない。あと、色々心配性すぎる。いざという場面でコミュニケーションを失敗する。脳内会議の感じ、私も同じようになってることよくあって、共感した。 砂羽は、戦時中の作家の日記を読んで同じ場所にいったり、戦争のドキュメンタリーを見たり、戦争を体験した祖父に思いをはせたりしながら、今の自分に起きてることは(どんな出来事も)場所とか時間とかいろんな無数の条件の組み合わせでできているんだ、という普遍的事実を再確認してるようにみえた。 そこまで達観してるから無感動なのかな…?(いいのか悪いのかわからないけど)と思った。 砂羽は、理解されにくいメンタリティをもってると思うけど、それなりに周りに、理解はされなくても共有できる人がいて、ある意味の救いが書かれてる気がした。
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