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夢の遠近法 増補 初期作品選 ちくま文庫
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夢の遠近法 増補 初期作品選 ちくま文庫

山尾悠子(著者)

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夢の遠近法 増補 初期作品選 ちくま文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2014/11/10
JAN 9784480432223

夢の遠近法 増補

¥825

商品レビュー

4.7

9件のお客様レビュー

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2023/02/06

精巧で美しい、言葉の曼荼羅のような、、 酔える余裕がないときは紙の上を視線が滑るだけだった。 精巧なとか書いたものの、よりハマったのは構造系よりも物語要素の強いほう: ジェットコースター展開からの穏やかで官能的なラストシーンが印象的なムーンゲイト、見知った果物ですら雰囲気と漢字...

精巧で美しい、言葉の曼荼羅のような、、 酔える余裕がないときは紙の上を視線が滑るだけだった。 精巧なとか書いたものの、よりハマったのは構造系よりも物語要素の強いほう: ジェットコースター展開からの穏やかで官能的なラストシーンが印象的なムーンゲイト、見知った果物ですら雰囲気と漢字によってやたら魅惑的にみえる支那風小夜曲集(の龍の帰還)、結末はよくわからなかったけれど、とにかく文章を追うのが楽しかったパラス・アテネなど。

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2020/02/11

この本に手をつけてから読み終えるまでに数ヶ月を要してしまった。山尾悠子の文章は流麗でこそあれ、難解でもなければ読みにくくもない。なのに読了に時間がかかった理由は、イマジネーションという点で、作者が読み手にかけてくる負荷がとんでもなく高いからだ。慌ただしい日常の隙間に読むということ...

この本に手をつけてから読み終えるまでに数ヶ月を要してしまった。山尾悠子の文章は流麗でこそあれ、難解でもなければ読みにくくもない。なのに読了に時間がかかった理由は、イマジネーションという点で、作者が読み手にかけてくる負荷がとんでもなく高いからだ。慌ただしい日常の隙間に読むということが難しい本なのである。 読者は作品ごとに、いつの時代でもなく、地上のどこにも存在しない世界を、言語だけを頼りに創造しなければならない。圧縮されたファイルを復元する作業のように、作者がいったん言葉に還元したイメージを、眼前の光景としてどれだけあざやかに再構築できるか、読み手の力量が試されるわけだ。 夢喰い虫の徘徊する円形劇場。 千の鐘楼を持つ崩壊しかけた水上都市。 垂直方向に無限に層を成す円筒型の建造物と、その内腔の〈腸詰宇宙〉。 地の果てまで続く石造りの都の廃墟。 死火山の麓、旅人を誘う月下の平原。 ……… 活字からイメージを掬い取る作業は骨が折れるが、その作業の先には誰も見たことのない風景、活字を通してしか出会うことのできない世界が待っている。自力だけでは到達できない景色を見ようと欲するならば、読者は山路を這い登る気持ちで活字を辿ってゆかねばならない。 "誰かが私に言ったのだ 世界は言葉でできていると 太陽と月と欄干と回廊 昨夜奈落に身を投げたあの男は 言葉の世界に墜ちて死んだと" (遠近法・補遺) 滅びた種族の黙示録にも似た、残酷な幻想世界。それを支えるのは、音楽的な律動を伴って紡ぎ出される文章だ。読んでいるうちに次第に目的を忘れて、ただ言葉に導かれるままに読み進めること自体が快楽になってくる。世界最古の文学はたしかに歌と詩であった、小説もやがては進化の果てに歌と詩とに還るのだと、ぼんやり考えさせられるほどに。

Posted by ブクログ

2019/09/23

面白かったです。 幻想的で残酷な、崩壊していく美しい世界に浸りました。 「夢の棲む街」「遠近法」「透明族に関するエスキス」が特に好きでした。 夢の~は、人でないもののグロテスクな描写が素敵で、そしてカタストロフィーへ… 遠近法は、《腸詰宇宙》が圧倒的な存在感で構築されていました。...

面白かったです。 幻想的で残酷な、崩壊していく美しい世界に浸りました。 「夢の棲む街」「遠近法」「透明族に関するエスキス」が特に好きでした。 夢の~は、人でないもののグロテスクな描写が素敵で、そしてカタストロフィーへ… 遠近法は、《腸詰宇宙》が圧倒的な存在感で構築されていました。絵画のようです。 透明族~は、透明な侏儒がぱん!と弾ける様が目に見えるようでした。透明でぎちぎちと犇めきあうのを、踏み潰すと可視性の内容物(酷い悪臭をもつ)が現れるのがグロテスク。 短編でも、残酷さがあって充足しました。 ほとんど、わたしが生まれる前に書かれてるんだな…。 この初期短編集のあと長い休筆期間に入られてたそうですが、最近は執筆されていて、山尾さんの新作が読めるのが嬉しいです。

Posted by ブクログ

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