スイスの凄い競争力

R.ジェイムズ・ブライディング(著者), 北川知子(訳者)

• 販売会社／発売会社: 日経BPマーケティング
• 発売年月日: 2014/10/31
• JAN: 9784822250508

商品レビュー

2023/05/08

スイスの勉強をしたいと思い本書にたどり着きました。700ページ近い大書で、初版は2014年の出版、私が読んだ時点（2023年）で10年弱の違いが出てはいますが、依然としてスイスの近代経済・経営を網羅的に理解する上では良書だと感じました。本書は大まかに言えば19世紀、20世紀以降のスイス経済の歴史を業種別および企業や人物に着目して記述した本になります。正直、知らない企業名やなじみのない人物名も多く、読み終わった後に細かな点はあまり記憶に残りませんでしたが、全業種を通底するスイスの強みのようなエッセンスは本書から嗅ぎ取れました。その１つが外国人の活躍です。その典型例が、フランスで迫害されていた新教徒（ユグノー）がスイスに亡命し、その亡命者（職人が多かった）がスイスの時計産業の礎を築いたということです。そのほかにも、本書の中にはスイスに移住した外国人がその業界で決定的な役割を果たした、という例にあふれています。そういえばアインシュタインもドイツからスイスに移り住み、チューリッヒで学んだ後に米国にわたりますが、スイスの魅力というか、包容力というか、スイス経済をけん引したのは人であるという点が各所から感じられました。好みはあるかもしれませんが、私は経営コンサルタントが戦略を分析している本よりも、本書のように人が主役でどう経済活動を営んできたか、という本の方が好きです。

本書は学びや気づきも多かったですが、いわゆる本というよりは辞書のような印象があります。つまり最初から最後にかけてストーリーがあるかというと、その印象は弱く、むしろ興味のある章を「つまみ読み」する、というのが良い向き合い方かな、と思いました。

2019/09/16

日本語版への序文
本書に寄せて

はじめに
第1章　すべてはミルクから始まった
第2章　時計製造―好機をつかむ
第3章　スイスの観光産業―雪や空気を売る
第4章　スイスの静かな商人たち
第5章　ナンバーアカウント―莫大な利益
第6章　利益を紡ぎ織る
第7章　小さな奇跡―医療技術の驚異
第8章　スイスの強力な産業機械
第9章　医薬品―売るための知識
第10章　スイスの輸送―移動を実現する
第11章　レンガとモルタル
第12章　スーパーコンピューターからマウスまで
第13章　美のビジネス―芸術と建築
第14章　スイス流―なぜ多国籍企業はスイスを好むのか
第15章　結論―スイスになる
謝辞
原注
索引

2015/05/13

ポケットの中の鍵を見たらＫＡＢＡと書いてあった．こんなところにもスイスがいたのかと再認識したのだった．