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税務判決・裁決例の読み方
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税務判決・裁決例の読み方

朝倉洋子(著者), 藤曲武美(著者), 山本守之(著者)

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税務判決・裁決例の読み方

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央経済社
発売年月日 2014/10/01
JAN 9784502119118

税務判決・裁決例の読み方

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2018/08/28

本書では有名税務判決・裁決例の判決要旨を解説し、これらの理論を税務実務に生かすヒントが解説されている。解説されている裁判例は、法人税法22条2項の無償取引について論点となった旺文社事件、貸倒れについて債権者側の事情を斟酌したことで有名な興銀事件、納税者の住所地について租税法律主義...

本書では有名税務判決・裁決例の判決要旨を解説し、これらの理論を税務実務に生かすヒントが解説されている。解説されている裁判例は、法人税法22条2項の無償取引について論点となった旺文社事件、貸倒れについて債権者側の事情を斟酌したことで有名な興銀事件、納税者の住所地について租税法律主義と実質的な担税力に基づく課税要件とが対立した武富士事件など税務事件の歴史に残るものばかりであった。これらの事件を通じて租税法の基本的な理論の理解ができた。 P129 私的自治の下に行われている経済取引の価格に対して課税庁は安易に介入してはいけないから、法人税法第37条第7項及び第8項と通達や判例は、寄附金認定について厳しい要件を課しているということである。 通達や判例集を見ると、経済的合理性があるとされるのは、次の場合である。 ①やむを得ず行われた子会社への無利息貸付け(法基通9-4-2) ②子会社に対する債権放棄がより大きな損失を回避する場合(法基通9-4-1) ③契約に基づいて、値増しするのは、価格決定のプロセスであるから寄附金に該当しない(大阪国税不服審判所平成21年8月21日裁決)。 これらの考え方について国側は「本件売上値引き及び本件単価変更の手法や期末に合理的な原価計算を行っていたとは認め難いことからすれば、本件売上値引き及び本件単価変更は、単にA社の利益をB社に付け替えるだけのものであって、その実質は単なる贈与ないし債権放棄であり、通常の経済取引として是認できる合理的理由は何ら存しないことは明らかである。」と決め付けた。 結論 国側は「本件売上値引き及び本件単価変更に係る金額は、法人税法第37条第7項所定の寄附金に該当する。」としているだけで贈与の立証がないので寄附金となるわけはない。 なお、本事案は国側が控訴を断念し、確定している。 P166 第一審の裁判長は藤山雅行氏であった。 藤山氏については、『最高裁の暗闘』の次の記述が参考になる*5 「藤山の特徴がよく表れた分野は課税のあり方をめぐる『税務訴訟」だった。 約7割。 藤山が行政訴訟を扱う東京地裁民事3部に在籍した00~ 04年に言い渡し、判例雑誌などで公表された30件の税務訴訟のうち、納税者側の主張を認めた割合だ。従来、地裁段階での納税者側の勝率は数%とされていただけに革命的ともいえる数字だった。 銀行が行政を訴え、一審で勝訴した税務訴訟の原告側代理人の一人は『20世紀は、行政訴訟は提訴しても行政が勝つもの、という観念が定着していて、弁護士には無力感があった。藤山氏は行政訴訟の外野に夢と希望を与えてくれた」と話した。そして付け加えた。「いわゆる『リベラル』というのとはちょっと違う。一昔前なら弱者である市民と対置される存在だった銀行や大企業も勝たせている。イデオロギーなき時代を象徴している。」 逆にそれまでの『常勝」を覆された訟務検事(国側代理人を務める法務省の官僚たち)は、杜甫の『国破れて山河あり』という詩をもじって『国 敗れて3部あり」と嘆いたという。」 *5山口進、宮地ゆう 『最高裁の暗闘-少数意見が時代を切り開く』朝日新聞出版2011年144-145頁。 P252 4敗訴した結果の代償 神奈川県は敗訴した結果,約1,700社に対し、約636億円を還付することになり、このうち156億円は還付加算金であると報じられている。また、平成25年4月9日付の住民監査請求によれば、この訴訟については、顧問弁護士ではない外部の弁護士に訴訟を委任しており、訴訟の勝敗にかかわらず、報酬を支払うという契約をした結果、県の内規では、258万円が上限であるところ、弁護士報酬として3億5.700万円を支払っている。 敗訴した結果、神奈川県の負った経済的負担の大きさを思うとき、この訴訟が提起された背景を、当初に立ち帰って真剣に考えなければならない。 地裁、高裁、最高裁と逆転が相次いだ難しい税務訴訟は、企業にとって、欠損金の繰越控除を適用できなくなるという死活問題であったことは間違いない。橋本税理士が指摘されるように、税収を不安定なものにしたまま放置してきた税務行政と立法の怠慢は果たしてこの事件だけに限られるのであろうか。

Posted by ブクログ

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