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丸山眞男を読む 岩波現代文庫 学術319
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2014/10/01 |
JAN | 9784006003197 |
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本書は1994年に初版、2007年に文庫化されたが、今回(2014年)出版社と書名を代えての再文庫化である。丸山の思考の最も良質な部分を的確に捉えた良書である。 誰が最初に言ったか忘れたが、望遠鏡で見たヨーロッパを尺度に顕微鏡で見た日本を断罪しているに過ぎない、というのが丸山批...
本書は1994年に初版、2007年に文庫化されたが、今回(2014年)出版社と書名を代えての再文庫化である。丸山の思考の最も良質な部分を的確に捉えた良書である。 誰が最初に言ったか忘れたが、望遠鏡で見たヨーロッパを尺度に顕微鏡で見た日本を断罪しているに過ぎない、というのが丸山批判の一つの典型としてある。丸山の日本ファシズム分析がその負の側面を一面的に拡大し過ぎているというのである。これに対して著者は、「(学問的認識によって)形成された対象の像は決してあるがままの、総体としての対象ではなく、あくまで仮説としての対象」であって、この点を理解せずに一面的であると批判するのは的外れであると丸山を擁護する。これも繰り返された丸山擁護のパターンである。ウェーバーを持ち出すまでもなく、認識が仮説であることは社会科学の常識であろうが、こう開き直ってはそもそも相互批判などできないと言うべきだ。論点を「何々と何々に限定」することが「対象についての身を切る思いの断念を伴ってい」たとしても、それが免罪符になる訳ではないだろう。その断念があまりに「現実」と乖離していたり、認識者の価値観に引きずられ過ぎてはいないかという吟味は可能であるし、すべきである。そういう意味では丸山のファシズム論はやはり一面的に「過ぎる」と評者は考える。 しかしそんなことは本書の価値をさして減じるものではない。本書が取り上げた丸山の思考で最も良質と言えるのは、その時その時の実感を重んじる「実感信仰」と、既成の理論を現実との対決を欠いたまま無限抱擁する「理論信仰」とが、振り子のように繰り返し現れ、また消えていくという日本思想の節操のなさの根源には、主体と客体が未分離で概念的思考を欠いた同化の論理があることを剔抉し、それを厳しく批判したことである。その反対物は政治思想に即して言えば、丸山が徂徠学に見出した「作為の論理」であり、直接的所与ではなく、あくまで構想されなければならない「フィクション」としての政治だ。これを近代主義と言うなら、近代主義なくして真の公共性は生まれ得ない。この丸山の思考は進歩か反動かといった対立軸を越えた普遍的価値を今でも持っていると思う。
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「近代主義者」として理解されることの多い丸山眞男の思想を読みなおし、公と私の対立を乗り越える強靭な思索を取り出す試みです。 著者はまず、「大衆の現像を繰り込む」という立場から丸山を批判した吉本隆明をはじめ、民衆史の視角から丸山を批判する色川大吉や、丸山を国民国家論者とみなすポス...
「近代主義者」として理解されることの多い丸山眞男の思想を読みなおし、公と私の対立を乗り越える強靭な思索を取り出す試みです。 著者はまず、「大衆の現像を繰り込む」という立場から丸山を批判した吉本隆明をはじめ、民衆史の視角から丸山を批判する色川大吉や、丸山を国民国家論者とみなすポストモダン派の主張に対して、彼らの批判が丸山の論じている問題を正確に理解することなく、その一面だけをとりあげていると反論します。 次に著者は、丸山の思索が、公と私の緊張関係のもとで展開されていることに触れて、それをデカルト以来の「内」と「外」の対立を克服する道をさぐるものだったという主張を展開しています。著者はここでパースやコリングウッドなどの哲学者の説を参照しながら、たとえば問題解決へ向けてわれわれのおこなう「活動」において、対立する「内」と「外」が統合されていると論じています。こうした著者の解釈は、ポパーのトライアル・アンド・エラーの方法に依拠した社会哲学に近いもののように思われます。 著者の丸山解釈はたいへん興味深いものだと感じました。ただ、著者は吉本による丸山批判を、たんなる実感信仰にもとづく近代主義への批判であるかのようにあつかっている点については、丸山を擁護するのに性急となるあまり、吉本の提出している問題をていねいに掘り下げることがなされていないのではないかという疑問もあります。本書で論じられているような「公」と「私」の緊張関係がもはや成り立たなくなってしまったという状況認識が、吉本の批判の背景になっていたのではないかとわたくしには思えます。
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ようするに丸山眞男という人は知名度が先行した学者だったんだなという印象です。だから、だれかれなしに丸山氏を批判したり、あげつらったりしたのでしょう。 批判さえしていれば時流に乗れると考える学者も多い。
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