心を届ける。和菓子と暮らしの歳時記

吉沢久子(著者)

• 販売会社／発売会社: 主婦の友社
• 発売年月日: 2014/10/01
• JAN: 9784072983829

商品レビュー

2018/11/17

佐藤愛子氏のような毒舌（？）は、無く、家事評論家として、色々なマスコミに登場していた　吉沢久子氏の本である。

「95歳。今日を楽しく。もっと前向きに」の作者。
1918年生まれであるから、100歳になられたのか？

この本は、字が大きく、そして、季節にあった上菓子の写真と、その内容が、又、堅ぐるしくなく、さりげない日常の会話のように書かれていて、そうそうそうですねよ！と、相槌を打ちたくなるような感じである。

1月に、花びら餅も、初釜用で、この時だけしか食べられないお餅。
両口屋是清の二人静も、口の中で溶けるお菓子で、中村貞女の句の如く。
2月の豆大福。私は、子供から教えてもらった京都の出町ふたばが、好きである。
ここでは、上野の「岡埜栄泉」で、今度、上京した折には、、、と。
３月は、桃の節句で、ゆう玉、草餅、ぼた餅、、と続き、彼岸の話に、ちらしずしの話。
4月　言問い団子、桜餅、どらやき。
吉宗と、長命寺の桜餅の話。
子供達とは、関東と関西の桜餅の違いについて、話したことがある。
5月　伊藤久右衛門の宇治抹茶あんみつ、とらやの柏餅、粽。
田植えの事を「早苗月」で、さつきと呼ぶ地域が、あることを、この本で知った。
お米が、貴重だったことも、、、、
6月　仙太郎のみなづき、松月堂の若鮎、ささまの紫陽花。
家康と嘉祥　旧暦の6月16日に江戸時代迄行われていた行事。
7月　水ようかん、土用餅、
食以外でも土用干し、丑湯など。
8月　水花火、葛焼田楽、竹の水
松尾芭蕉と「ところてん」
石川啄木と「かき氷」の話の蘊蓄も。
9月　月世界、十五夜、山田屋まんじゅう、
お饅頭も、冷凍保存とは、、、考えても無かった。
「老婆聞き書き」で、今の四季折々の話が、、、
10月　なると金時羹、栗きんとん。
森鴎外と「饅頭茶漬け」風変わりな嗜好にビックリ。
光圀と「福寿饅頭」グルメの殿様　友人への古希の祝いに、70匁（260g）の特大饅頭100個を送った話！
11月　華車、黄金芋、切山椒、山川、あんころ柿。
「亥の子」とこたつの話。
私は、料理に南天の葉を飾るのだが、ここで、紅葉葉をお風呂に浮かべたり、和菓子に添えたりと、、、。
庶民から伝わった「ぼてぼて茶」の話は、始めて。
12月　とらやの夜の梅、軽羹、淡柚（あわゆう）太和屋の越乃雪。
兄が大好きな虎屋の夜の梅。お正月用にいつも購入していた。
柚餅子は作ったことが無い。
正月　朝に「大福茶」我が家は、小さく固い梅を入れて頂く。
夏目漱石に「切山椒」、、、草枕にこんな記述が、あったけぇと、、、
高杉晋作と「越乃雪」の話。

ただの、歳時記であれば、読んでしまわないであろうと、思のだが、美味しい和菓子と器の写真と、その時の話題。
作者吉沢久子氏の　蘊蓄の広さと自分の身の周りの慣習など取り入れ、楽しく読ませた頂いた。

今年も後1カ月半、お正月用の和菓子は、今年は何にしようか？と、食い意地だけが、先行している。

2018/08/03

主婦の友社の本を読むことになるとは思わなかった。 人生経験というか、年の功というか、経験が培ったものか、その語り口にはどこか安心を覚える。まだ、和菓子を他人に送るような機会はなかなかない年ではあるけど、のんびりしたいときにぜひ。