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最後の敵 河出文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2014/10/01 |
JAN | 9784309413235 |
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最後の敵
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商品レビュー
3
6件のお客様レビュー
SF大賞受賞作だけあって、アイディアは素晴らしいのですが、説明文が長い。アニメ化されたらテンポよく進んで良いかもしれないですね。?
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この現実を不動のものと考えるのは、個人的な幻想、あるいは共同幻想によって構築された、巨大な錯覚にすぎない(P304参照)進化を敵と見なす人類はそれぞれのレベルに応じた無数の現実を知らない、しかし進化した生物(あえて人類とは呼ばない)は他現実へと移動が可能になる。その超絶な能力者の出現がなぜ人類を滅亡に追いやるのか・・・ちょっと難解かも再読必須(笑 『最後の敵』山田正紀著は第3回日本SF大賞受賞、同賞受賞作品以下完読済み 第2回(1981年) - 井上ひさし 『吉里吉里人』 第18回(1997年) - 宮部みゆき 『蒲生邸事件』 第19回(1998年) - 瀬名秀明 『BRAIN VALLEY(上・下)』 第23回(2002年) - 古川日出男『アラビアの夜の種族』 第29回(2008年) - 貴志祐介 『新世界より』
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山田正紀には入れ込んでいた時期があった。『神狩り』『弥勒戦争』『チョウたちの時間』『崑崙遊撃隊』『風の七人』……。難解なテーマを扱ったSFから、秘境冒険小説、時代劇、ミステリまで、あまりに多作でそのうちついて行けなくなって、しばらくぶりに読んだ『神狩り2』と『ミステリ・オペラ』...
山田正紀には入れ込んでいた時期があった。『神狩り』『弥勒戦争』『チョウたちの時間』『崑崙遊撃隊』『風の七人』……。難解なテーマを扱ったSFから、秘境冒険小説、時代劇、ミステリまで、あまりに多作でそのうちついて行けなくなって、しばらくぶりに読んだ『神狩り2』と『ミステリ・オペラ』は、面白くなかったわけではないが、山田正紀ってこんなB級だっけという感想。 饒舌な文章は強引なプロットをうまく説明するでもなく、しかし作者は強引とは思っていなさそうなあたりが気恥ずかしい。壮大なアイディアに驚くまもなく、それが怪しげな論理で展開されて興をそぐ。 『最後の敵』は上記の一群の初期作品のひとつで、次第にジャンルを広げて乱発というくらいに作品が出されていく直前の頃のものである。たまたま評者はこれは未読のままだったが、第3回目の日本SF大賞を受賞しており、彼の代表作のひとつといっていいはずである。それが1985年に文庫化されて以降、入手困難だったという。当時は副題に「モンスターのM、ミュータントのM」と付けられていたが今回カットされた。 インポテンツに悩む、遺伝子工学の大学院生・森久保与夫が精神分析家・鳥谷部麻子を訪ねる。自分でも驚いたことに麻子はいきなり与夫に催眠をかけて話を聞き出すが、彼は自分が緑藻でミジンコに進化するところだなどという話をするのであった。そんな彼にジャーナリストを名乗る巨大な肉の塊のような女性・大木うるわしが接触してくる。 初期作品も実は最近のものと変わらずB級で、これが山田正紀に味わいなんだと思う。名前の付け方、ちょっとのけぞるようなものがある。与夫(よぶ)は旧約聖書のヨブであろうが、それにしても「うるわし」という名前は…… プロットも強引だ。与夫の敬愛する教授をうるわしが問い詰め、教授が隠している科学的事実を暴くと、教授は人格崩壊を起こしてしまう。そんな簡単に人格崩壊なんてしないって。しかし、そのすぐあとで、うるわしが与夫に言う「あなたの戦うべき相手というのは進化なのよ」というとんでもない台詞が控えているので、人格崩壊なにするものぞ。 進化が敵であり、進化と戦うのがこの小説のテーマなのである。しかも与夫は“レベルBの現象閾世界”に閉じ込められていて、記憶を失っているというのだ。 進化が敵というとんでもなく思弁的なアイディアをぶち上げながら、妙にしょぼいアクションが続いたりして、鼻白む。だいたい進化と戦うって、どう戦うんだ、という時点で話を組み立てられなくて執筆を断念してしまいそうなものだが、それを書いてしまうところが山田正紀の力業ではある。 進化とは進化力という物理的相互作用であり、電磁気力、核力、弱い力、重力に並ぶ5つめの力である。しかも、対称を好む自然からして、電磁気力、核力、弱い力の三対に対して、重力と進化力と、もうひとつ発見されていない力があるはずだ。なんて理論構築は完全にトンデモである。あとひとつの力ってどうせ愛だろうと思っていたら、終盤にいたって主人公が“愛”が6つめの力だったらいいのにと述べる場面が出てきてさすがに目が点になる。さらに「“愛”などというものをご大層に考えるのは、それこそ感傷的な女学生か、鼻持ちならない詩人ぐらいのものなのだ」とすら述べている。わかっているのに、感傷的な女学生か、鼻持ちならない詩人の小説にしてしまうのが悪いところだと思うよ。そのトンデモ理論を納得させてしまうだけの筆力を駆使するかワイドスクリーンバロックのようにその無茶苦茶を楽しませるという方向に行ってくれればいいのだが。 われわれの日常的な現実は“レベルBの現象閾世界”であって、同時に木星の衛星軌道に進化と戦うための宇宙船〈大腸菌号〉で赴いているという現実が存在しており、与夫は幾多の現実を行き来しながら話が進む。そして「最後の敵」とは何なのかはネタなので伏せておくけれども、傑作というより怪作なのではないだろうか。それを言ったら山田正紀ってみな怪作かも知れないが。
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