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甲子園と平壌のエース 東北高校・波山次郎と幻の北朝鮮野球
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甲子園と平壌のエース 東北高校・波山次郎と幻の北朝鮮野球

鈴木昌樹(著者)

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甲子園と平壌のエース 東北高校・波山次郎と幻の北朝鮮野球

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 本の森
発売年月日 2013/08/01
JAN 9784904184592

甲子園と平壌のエース

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2021/08/12

帰国事業で北朝鮮に「帰国」した在日朝鮮人のプロ野球選手、波山次郎の「帰国後」を追うノンフィクション。 同書では、波山が中学生の頃からその才能を買われて野球部で厳しい訓練を積んで甲子園を目指す様子が、同級生やチームメイトの証言とともに描かれている。 野球の試合の様子がかなり緻密に...

帰国事業で北朝鮮に「帰国」した在日朝鮮人のプロ野球選手、波山次郎の「帰国後」を追うノンフィクション。 同書では、波山が中学生の頃からその才能を買われて野球部で厳しい訓練を積んで甲子園を目指す様子が、同級生やチームメイトの証言とともに描かれている。 野球の試合の様子がかなり緻密に書き込まれており、野球についての知識がない私はさらっと読み飛ばした部分が多いのだが、試合運びを通して波山の心の変化が書かれているのが興味深い。 1950年代、在日外国人に対する差別が根強く、また国の制度も不備であった。このころ、甲子園に出場した生徒を選抜してハワイに送り、そこで親善試合を行うという海外遠征イベントが存在した。野球の本場である米国で試合を行う──球児の誰もが夢見るイベントだが、波山は国籍が違うという理由で名簿から外される。それを知った波山は甲子園の準決勝で心身のバランスを崩したのか暴投し、敗北する。 本人は口には出さなかったようだが、在日朝鮮人として暮らすことには様々な制限があったのだろう。 大洋ホエールズで数年間のプロ生活を送ったのち、彼は家族とともに1965年に北朝鮮に「帰国」する。 その後の暮らしぶりはあまりよくわからない。14年後に波山は北朝鮮で死亡している。 著者は、日本に残る波山の姉が北朝鮮に住む弟・鐘煥との間で、波山が北朝鮮でも野球をしていたという会話を交わしたことに注目する。 現在、北朝鮮ではあまり野球が行われていない、と考えられている。しかし著者は、日本からの帰国者を中心に1960年代から草野球が行われていたことや、同盟国であるキューバの勧めで北朝鮮でもナショナルチームを結成していたこと、すでに30代になっていた波山がそこに所属して活躍したことを細やかな取材活動から調べ上げる。 元プロ野球選手が北朝鮮に「帰国」し、その後不慮の事故で死亡した。 しかし、彼の人生はそれだけではない。 帰国後も波山選手が数年ではあるが大好きな野球に関わり、国外での親善試合でも活躍した・・・そんな野球人としての彼をこの本は記録している。

Posted by ブクログ

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