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M/Tと森のフシギの物語 岩波文庫
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M/Tと森のフシギの物語 岩波文庫

大江健三郎(著者)

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M/Tと森のフシギの物語 岩波文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2014/09/01
JAN 9784003119723

M/Tと森のフシギの物語

¥990

商品レビュー

4.3

10件のお客様レビュー

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2023/10/15

大江作品群の基準点のような立ち位置に佇む、大切な作品です。この作品で語られた四国の谷間の村の逸話を、以降の作品で形を変え、幾度も語られていきます。そういう意味で、大江のセルフオマージュの基準点です。 中盤までは、谷間の村の史実と大江の個人的な体験が、(大江の晦渋な他の中期の作品...

大江作品群の基準点のような立ち位置に佇む、大切な作品です。この作品で語られた四国の谷間の村の逸話を、以降の作品で形を変え、幾度も語られていきます。そういう意味で、大江のセルフオマージュの基準点です。 中盤までは、谷間の村の史実と大江の個人的な体験が、(大江の晦渋な他の中期の作品とは異なり)柔らかな文体で語られています。巻末の小野正嗣の解説での、「受容的・女性器的な文体」という表現がピッタリ当たっています。 終盤、史実の語りに少々マンネリしてきたところへ、ここにきて大江作品らしい生々しさのある事件が起こります。そして主人公の母から神秘的な「森のフシギ」が語られるのです…。 歴史の途方もない循環性に対して、しかし個々人の人生の価値をも保証してくれる、美しい語り。 さらに後期の作品『取り替え子』や『晩年様式集』にも通ずる、まだ生まれてこない次の世代に想いを馳せる語り。 ノーベル賞の受賞理由作品である所以がよく分かりました。 比較的易しい文体であるため、それこそ将来の僕の、まだ生まれてこない子供に読んでもらいたいと、前向きな想いを馳せています。

Posted by ブクログ

2023/05/27

同時代ゲームは未読。どんな風に解釈すべきなのか、読みながら考えてしまうと進めなさそうに見えたので、まずは神話のような物語として読み進んだ。 読みながらようやく理解が進み始めたのは第2章。著者は「何種類もの話され方を一つの物語に重ねて聞く、それをのびのびと自由に聞き取るという習慣こ...

同時代ゲームは未読。どんな風に解釈すべきなのか、読みながら考えてしまうと進めなさそうに見えたので、まずは神話のような物語として読み進んだ。 読みながらようやく理解が進み始めたのは第2章。著者は「何種類もの話され方を一つの物語に重ねて聞く、それをのびのびと自由に聞き取るという習慣こそ、祖母に教育された最も良いことであったかもしれない」と書く。ああ、なるほど、と、ここから俄然面白くなった。第二次大戦をはさんで極端な価値転換を実体験として持つ著者が、時の流れの中で何が起きたのかについて考える時に、この自由な思考回路に救われ、公に書かれた歴史だけでなく、個々人の語る実体験をもとにした厚みのある歴史を自分の軸にして語る力を得たのかもしれないと思う。だからこそ、最終章で現在のご子息やお母さまとの話につながっていったのが自然な流れで読めた。 静かで壮大な、神話のような物語。森の、自然の中で、その力に守られて生きた時代、生と死の境界線があいまいで、目に見えないものを理解し、想像し、信じる能力を持っていた時代。そういう世界をつぶしていく愚かさと、その愚かさの理不尽な強さ。そのうち「同時代ゲーム」に再挑戦しようかと。

Posted by ブクログ

2022/09/15

『同時代ゲーム』で挫折した人にも安心(?)して読んで貰える。内容はほぼ同じだが、かなり易化しており読みやすい。 著者の故郷の逸話や土着信仰から、ここまでスケールを広げた物語に出来る事に、純粋に驚愕する。 作者の拘る大江流神話の完成系。

Posted by ブクログ

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