禅の読み方 いま、自分自身を再発見するために クレスト選書

ひろさちや(著者)

• 販売会社／発売会社: クレスト社
• 発売年月日: 1998/05/05
• JAN: 9784877125134

商品レビュー

2024/08/05

人生の軸として心にいつも留めて置きたい話だった。
特に徒競走での例えが好き。人生は徒競走のように、一直線に走ればゴール出来るものではなく、ランダムでピストルが鳴らされ、走る方向が変わる。だから順位も、どうとでも変動する。それを知らないが故に、頑張りは慢心を生む。｢自分は頑張ってるのに、周りはけしからん｣となる。
｢世間のモノサシ｣を捨て切れない中途半端な｢自分は自分で良い｣ではなく、究極の｢自分は自分で良い(自分でしか生きられない)｣を読めた気がして、心が軽くなった。
｢宗教を持たないものが持たされるのが、美学｣という言葉も響いた。
｢立派に生き、立派に死になさい｣｢頑張りなさい｣そんな常識(美学)を捨てろという教えが、もっと日本人の血に染み込めば良いなぁなんて思った。

2019/08/05

禅の重要なコンセプトについて、有名な公案や禅僧のエピソードをもとに解説する。
現代人が生きる上での指針となるように、平易に(そしておそらくある程度思い切った)言葉で解説してくれるので、読みやすい。
ただ、著者の他の禅に関連する解説書(「禅が分かる本」新潮選書等)とのネタの重複が相応にある。

禅の現代的な意味
これを含めて著者の平易な解説書を読むまでは、現代における禅の位置づけを、せいぜい文系知的エリートの浮世離れした教養か、アウトサイダーが気ままな行動を正当化するためになんとなく借用する権威という程度に考えていた。
今では、禅の現代的な意味は、情報過多、何事にも評価がついてまわる時代をやり過ごしていくための知恵だと考えている。

価値観の好き嫌い
読んでいて気になったのが、節々に出てくる著者の価値観が「反競争、反資本主義、反権威」の一昔前の左派エリートのものであり、古く感じることだ。まして著者は権威の中で活動した大学教員であり、成長とバブルを謳歌した世代である。私も含めて、一方的な価値観でイラつくという人はいると思う。
禅は枯れないが戦後思想は現代では枯れて久しい。

2013/02/03

大学に入学するための勉強は功徳を求めて勉強をするから。
考える必要のないことは考えない。
目的とか目標なんてものは、全部未来のことがら。それを考えると現在が窮屈になる。
どうも世の中、物差しだらけ。情報社会というのは換言すれば物差し社会。
努力して幸福になるのではなく、私たちは幸福だｋら努力できる。幸福になろうとして努力すれば、焦りが生じる。