娘が語る白蓮

宮崎蕗苳(著者), 山本晃一(編者)

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社
• 発売年月日: 2014/08/27
• JAN: 9784309023144

商品レビュー

2024/03/05

炭鉱で財を成した男と
特権階級の令嬢の結婚。

当時は家系がなにより
大事な時代。

その時代に財力だけで
華族出の白蓮を娶った
伝右衛門。

そしていまより女性に
自由がない時代に、

不倫の末、その富豪の
元を去った白蓮。

しかも新聞に絶縁状を
発表するという破天荒
ぶり。

それこそが大正の世を
騒がせた白蓮事件なの
でした。

白蓮と伝右衛門どちら
の肩をもつこともあり
ませんが、

非難や嘲笑をものとも
せず已の意志を貫いた
白蓮。

当時女性の不貞のみに
適用した姦通罪に問う
ことなく、

周りの抗議の声を抑え
離婚に応じた伝右衛門。

結果としてすれ違った
二人ですが、

スケールの大きさでは
お似合いの夫婦だった
のではないでしょうか。

また伝右衛門との生活、
息子の戦死という風雪
の半生を経たからこそ、

歌人として大成したと
言われてますが、

大正デモクラシーの中、

この才媛が目覚めない
筋書きが果してあった
のでしょうか。

2017/01/02

歴史上では「白蓮事件」と記録されているが、現代の目線で見たら、とてもロマンチックでエキサイティングな恋物語と言っていいんじゃないだろうか。

2015/02/07

娘さんにも拍手
娘の蕗苳さんの独特の柔らかい語り口にゆるりとした時間にいざなわれる心地。

ただ、終戦間近に熊本にいる兄に、二十歳そこそこの蕗苳さんが、東京からひとりで軍刀を届けに行き無事戻るまでのエピソードなど、白蓮ゆずりの強い意志をもった女性だと窺われます。

様々なことどもを優しく受け止めて愛しく語る落ち着いたものがたりです。