タグ・ホイヤー150周年ブック ビッグマンスペシャル

世界文化社

• 販売会社／発売会社: 世界文化社
• 発売年月日: 2010/10/10
• JAN: 9784418101221

商品レビュー

2011/10/26

2010年春、創立150周年を迎えた名門ラグジュアリーウォッチメーカーのタグ・ホイヤー。伝統を積み重ねたそのウォッチメイキングの技術は、腕時計の基本機能を作ってきました。さて、その機能とは。また、持つ人に愛着と誇りをもたらすその秘密も、その話から垣間見えてきたのですが――。

　＊　＊　＊

かつてジャン-クリストフ・ババン氏（タグ・ホイヤー代表取締役兼CEO）が時計との出会いについて語ったことがある。「初めて本格時計を手に入れたのは1998年です。ずっといい時計が欲しいと思っていて、地元の時計店のウインドーを眺めていました。そこでひと目で気に入ったのが＜カレラ＞の三針モデルだったのです。当時ドイツ企業の副社長を務めていましたが、それまで時計にそんなに出費したことはなく、約800ユーロだった値段も私には安くはありませんでした」

じつはこの時、本当はクロノグラフに魅かれたが、値段的に手が出なかった。その思いはいまも忘れていないという。

「お客様には自分ができる範囲での出費をしてもらい、それに見合った価値を得られるような製品を提供したいと思っています。その人にとっては10万円でも非常に高額なのですからね」

この経験は現在のタグ・ホイヤーの時計作りの原点にもなっている。ユーザーの視点に立ち、使い続けるほどに満足感と信頼感が増すような時計を作りたい。こうした考えから6つの基本機能も生まれた。

もとはダイバーズウォッチのために開発された6つの基本機能だが、苛酷な環境下での耐久性は日常での高い信頼性にもつながることから、該当する仕様であればいまではほとんどのモデルに適用されている。

なかには日常での使用ではオーバースペックにさえ感じられる機能もあるかもしれない。しかし、その評価の時間軸はさらに先にある。たとえばサファイアクリスタルの風防は傷つきにくく美しさを長持ちさせ、二重安全止め金具付きブレスレットは誤って外れてしまい、時計を落としてしまう恐れもない。他の機能も同様、すべては長く愛着を持って使い続けてほしいという願いからだ。ババン氏はいう。

「社会に出たばかりのような若い人にも時計の魅力を提供していきたいと思います。まず実用的なモデルを使っていただき、10年後、仕事の経験を積み、お金や生活にも余裕ができ、趣味的にも充実してきた時にラグジュアリーで機能的にも凝ったモデルを選んでいただければいいと思います。さらに20年後になっても、また欲しいと思われるブランドでありたい。若い時に手に入れたタグ・ホイヤーとともに時計へのパッションを育んでいただき、40歳、50歳になってもその成長に応えていけるブランドでありたいと思うのです」

同じ時間を共有し、ともに人生を歩んでいく。時計との理想的な関係がそこにはある。タグ・ホイヤーを手にした瞬間からその時は刻み始めるのだ。

［腕時計の基本を作った6つの機能］
［1］逆回転防止型ベゼル
［2］ねじ込み式リュウズ
［3］夜光付きインデックス＆指針
［4］サファイアクリスタルの風防
［5］30気圧（水深300m）以上の防水
［6］二重安全止め金具付きブレスレット