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北斎と応為(下)
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 彩流社 |
発売年月日 | 2014/06/16 |
JAN | 9784779120282 |
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北斎と応為(下)
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商品レビュー
3.8
7件のお客様レビュー
カナダ人女性作家が書いた、葛飾北斎と娘の女絵師、応為の物語。何故、作者がこの題材を取りあげたのか。 というのは、著者あとがきにある。北斎は晩年、精力的にとんでもない数の肉筆画を描いているのだが、中風になった彼がはたして描くことができたのか。北斎の落款があったとしても北斎工房の誰...
カナダ人女性作家が書いた、葛飾北斎と娘の女絵師、応為の物語。何故、作者がこの題材を取りあげたのか。 というのは、著者あとがきにある。北斎は晩年、精力的にとんでもない数の肉筆画を描いているのだが、中風になった彼がはたして描くことができたのか。北斎の落款があったとしても北斎工房の誰かが描いたものではないか。それは恐らく、娘の応為によるものではないのか。という疑問が発端だ。この説は、『北斎娘応為栄女集』を上梓した久保田洋一により詳細な解説がされている。本作は、執筆にあたり、やはりその久保田洋一にも取材し、更に日本に来て緻密な調査をしたという。 当時の江戸の下級町民の生活スタイルが詳細に描かれる。まあそれは読者が海外の人であれば必要なのかもしれない。下手な日本人時代小説よりもリアリティを感じる描写だ。 北斎と応為に関わる作品としては、朝井まかての『眩』、杉浦日向子の『百日紅』を読んでいたので、父娘の周りの登場人物は凡そ頭に入っており、人間関係や時代背景は頭に入った上で読むと、いろいろと比較できて興味深い。 本作における応為のキャラクター設定は、当時の女性としては特異なもの。男尊女卑な江戸時代にあって、絵師という男性社会で対等に立ち向かい、自我を持っている。しかし偉大な父の北斎の影に隠れ、結局絵師としての名声は後世に残すことはできなかったという矛盾。 小説という形をとってはいるが、著者の調査とその結果による熱い思いを込めたの応為の物語だろう。
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感嘆、の一言。カナダの作家が書いたとは思えない。生臭く極彩色に彩られた江戸の文化が、そして明治への変遷の激動が、まるで目の前に浮かぶような文章。丁寧な取材と確かな知識を基盤に(正しいのかどうかは勉強不足の私には分からないけれど)、北斎への、応為への、そして日本文化への、謙虚な愛と...
感嘆、の一言。カナダの作家が書いたとは思えない。生臭く極彩色に彩られた江戸の文化が、そして明治への変遷の激動が、まるで目の前に浮かぶような文章。丁寧な取材と確かな知識を基盤に(正しいのかどうかは勉強不足の私には分からないけれど)、北斎への、応為への、そして日本文化への、謙虚な愛と、尊敬と、労りが、隅々から感じられる作品だった。 ただ、時間の経過がちょっと分かりにくい。原文がそうなのか、カナダ文学の特徴なのか、訳者の采配なのかは分からないけれど、風景描写もクドくて物語に入り込みにくい。現実なのか妄想なのか、本音なのか建前なのか、掴みにくいところも。多分に私の力不足もあると思うが、、、それらを上回る圧倒的内容の濃さに助けられた感はある。 後悔していることが二つ。応為のことばかりで、北斎について勉強していなかったこと。江戸文化についても同様。そして、当時の世相や、交流のあった文人墨客についての知識不足。普段時代小説なんてからっきし読まないので、知らない単語をスマホで調べつつの読書。そりゃあ進まないし感情移入しようにも削がれる。応為のことが知りたくての選書だったのに、彼女の人生に多大な影響(影響どころかほとんど全てだったのではないか)を及ぼした父親と、彼らが生きた時代について、教科書程度の知識(ほとんど丸腰では?)でこの作品に挑んだこと、大いに反省すべき、と読書中に思いました。それでも充分楽しめた、作者の手腕に拍手。またいつか知識を増やして再読したいです。 なぜ応為が自分の人生のほとんどを父親に捧げたか。当時の慣習をものともせず、料理も縫い物もしなかった偉大な影の女絵師。勿論、世相に逆らいきれなかったところもあるだろう、人間はいつだって時代に洗脳されている。他の門人たちのように「北斎」という名前の偉大さに幻影も抱いていただろう。だからこそシーボルトに本当のことを言えなかった。けれど、それよりもなによりも、「父に心底惚れていた。」「あんたより惚れた男はいない。」これほど的確な理由はないと思う。父としてでも、男としてでも、人間としてでもなく、絵師としての北斎に、心底惚れていた。だからこそ、北斎という男の偉大さに、横暴に、情熱に、己の人生ごと振り回されながら、慈しみ、仕えて、信仰し、父娘らしく憎しみ合って、愛した。史実が、真実がどうかは分からないが、少なくともそれこそが、この物語の全てであると思う。そして願わくば、父親も同じように娘に惚れていたのでありますように。
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※このレビューにはネタバレを含みます
下巻は1823年、シーボルトからスタート。 えー、栄がシーボルトに片恋⁉︎式亭三馬や渓斎英泉との絡みはともかく、コレはないやろ。 江戸の街を練り歩き、四文屋で買い食いする、栄みたいなオンナはきっと、我々の想像以上に偏屈扱いされたんだろうなあ。中盤で北斎は逝っちゃって、後は栄の晩年。何気にちょいちょい絡んで来て栄を助けてくれる、でもって最終的には東慶寺の住職に収まった(!)志乃の生き様が印象に残る。
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