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アウグストゥス
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アウグストゥス
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帝政ローマの創始者アウグストゥスの伝記。 誰もが知っている偉人だが、どういう人物かは意外と知られていない人物ではなかろうか。 高校世界史レベルの知識で言うと、思えば不思議な人物である。 若くして突然カエサルの相続人として歴史の表舞台に出現し、革命派の一領袖として気づけば同僚らを...
帝政ローマの創始者アウグストゥスの伝記。 誰もが知っている偉人だが、どういう人物かは意外と知られていない人物ではなかろうか。 高校世界史レベルの知識で言うと、思えば不思議な人物である。 若くして突然カエサルの相続人として歴史の表舞台に出現し、革命派の一領袖として気づけば同僚らを圧倒し、元首政を始める激動の前半生と、 単独支配を実現してからの多方面にわたり国力を充実させる君主としての堅実さを示した後半生。 そんな多様な表情を見せるアウグストゥスの生涯と、その時代史を、可能な限り古代の文献を頼りに再現している。 前作ともいえる同じ著者の『キケロ』に比べると、拠って立つ資料の性質上、臨場感は少ない。 『キケロ』の場合個人的な書簡がどっさり残っていたので、個人としての肉声まで聞こえてくるようだったが、アウグストゥスの場合、特に支配権を握って以降は、個人的な通信は少なく、同時代の政治文書も豊富ではなく、後世の人の伝記に拠ることになり幾分か記述が客観的である。 そういう意味で読み物としての面白さとしては劣るものの、この共和政ローマ末期から帝政ローマの開始、そしてアウグストゥスの処世術と政治的手腕については存分に味わえる。 何よりこの人の本は、文章が平易で誰にも読みやすいのが素晴らしい。 ローマ史に興味を持つ人には必読といえるかもしれない。
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初代ローマ皇帝だというのに、いまいち影の薄いアウグストゥス。その前がカエサルという華のある人物であった上に、戦闘に向かないというのが大きい。しかし、これを読むとアウグストゥスという人物の一生が、いかに物語として魅力的かがわかる。 アウグストゥスは自分ができないからこそ、人に任せ...
初代ローマ皇帝だというのに、いまいち影の薄いアウグストゥス。その前がカエサルという華のある人物であった上に、戦闘に向かないというのが大きい。しかし、これを読むとアウグストゥスという人物の一生が、いかに物語として魅力的かがわかる。 アウグストゥスは自分ができないからこそ、人に任せることが出来る。戦闘の得意なアグリッパ、芸術を好むマエケナスと共に、権力の座を勝ち取りに行ったのがアウグストゥスの半生である。18歳の病弱なイケメンが、偉大な叔父から後継者として指名されて最終的に皇帝となるというのは、設定だけ見ればほとんどラノベである。分量があり、いい値段だが、読む価値はある。
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ローマ初代皇帝アウグストゥスの伝記。 大叔父のカエサルから権力基盤を継いだ後から前半はほとんどアントニウスとの権力争いに費やされています。 自身の権力を確立させてからローマの改革にとりくむのですが、それも反対者を出さないように、反対者を先鋭化させないように、ゆっくりじっくり進められます。 アウグストゥスはカエサルのような天才では無かったし、競争相手も天才ではなかったけど愚かでもなかった。 そのなかで彼を勝ち残らせたのは、大伯父から受け継いだ明確なヴィジョンと優れた「忍耐力」だと思います。 しかし、家族を政治の駒にし同様の「忍耐」を強いたときアウグストゥスの家庭は崩壊し王朝計画の屋台骨は傾いだままのスタートとなります。 アウグストゥスの血を引く王朝はネロで終わってしまいますが、彼が築いたローマ帝国の礎はその後も引き継がれ、現代のヨーロッパにまで影響を及ぼしています。 そして、それこそが彼の冷徹な忍耐力をもってのみ成し遂げられた偉業であると思います。
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