中上健次集(一) 岬、十九歳の地図、他十三篇

中上健次(著者)

• 販売会社／発売会社: インスクリプト
• 発売年月日: 2014/04/26
• JAN: 9784900997417

商品レビュー

2024/03/29

読点のリズムがなんかいい。「岬」は結末の姦通する場面が印象が強すぎたが、瑞々しい感性が終始あった。それは肉体労働に従事し自然と一体となることを望む秋幸の心情と、死のにおいがどことなくする“路地”との関係があるのだと思う。

2021/10/03

雨や川、湿った森の情景がよく書かれるのが印象的で、霧のようなあるいは洪水のような白くけぶる水のイメージを思い描きながら読んだ。温度は低め。湿度は高め。泥の臭い。まるで音楽のような映画のような絵画のような、ああ、小説って言葉の芸術だったんだなどと今更のように唸る。
『19歳の地図』では凶悪犯罪者予備軍の少年が迷惑行為(というか普通に犯罪なんですが)を繰り返すことでSOSを発している状況を克明に書いていて、ここまで少年の闇をはっきり書いてしまって良いのかと思った。

故郷や家族のことを書いた一連の作品、主人公の皮一枚の下に抱えている苛立ちか伝わってヴ～となる。

2018/01/13

「岬」
複雑な家庭のお話。とあることで殺人が起こり、その後姉はおかしくなっていき崩れていく。生々しいがそれでも生きていく。【2018年1冊目】