ありふれた愛じゃない

村山由佳(著者)

• 販売会社／発売会社: 文藝春秋
• 発売年月日: 2014/03/28
• JAN: 9784163900360

商品レビュー

2023/03/05

それぞれの登場人物の身勝手さに苛々し、自身を正当化して何食わぬ顔で生き続けるところにもどかしさを感じながらふと思った。人間ってこんなもんだよなあ、と。
言葉をこねくり回して綺麗に正しいように見せるけれども、客観的に見て論理的に説明してしまえば、側から見たら実に小さくくだらないことか。でも結局それ自体が人生で、いつの時代も人はそれに振り回されながら生きていくのだろう。誰にも正解なんてわからないからこそ、登場人物が納得して決断できたことを多少羨ましく感じながらも、よかったねと言ってあげたい気持ちになった。

2022/01/19

かなり久しぶりの恋愛小説。楽しくて夢中になった。恋愛小説はあまり好きではなかったけど、海外舞台はやっぱりいいな。タヒチの自然いっぱい解放感あふれるリゾートで元彼と再会。恋愛の話より、タヒチの解放感あふれる自然と海にうっとり。20と数年前、新婚旅行は絶対ボラボラ島に行きたいと夢いっぱいだった理想と現実を知らない頃を思い出した。
主人公の真奈は、男に頼ることなく自立した女性と暗に自負しているようなところが、どうにも気になってあまり好きになれなかった。それなのに結局最後は男に走るんかい！みたいな。でも、これが現実。大半の女性の現実だと思うので、最後、真奈が自分を開放できて、行動したところは、本当に良かったし、羨ましいとも思えた。
文中の言葉「恋に落ちるのに時間など必要ない。まばたき一つの間があれば十分だ」・・自分の人生において、こういう情熱的な恋愛を経験できなかった事、残念だな。みんなこういう恋愛を1回くらいは経験してるものなのかな？
村山さんの本、ライトなものから他も読んでみたい。

2021/05/23

いつもは恋愛小説は途中で挫折してしまうが、こちらは最後まで読めました。

タヒチという場所に魅力を感じたのと、
主人公の元カレの描写がとても魅力的に感じたからです。

話の展開自体は、、、、
読みやすい、、＝ちょっと浅い？と私は感じてしまいました。

小説の中で出てくるセリフですが、
「タヒチの女は将来に対する打算なんかない、ただ、この男が好き、っていう気持ちだけで相手を選ぶ」

逆に、気持ちがなくなったら別れるそうです。

夫に愛がなくなったが、子供のことを思うと別れられない、
好きじゃないけど、嫌いまではいかないから別れない、ただ居心地は悪いけれど、、
なーんていう夫婦、日本には多いと思います。

好きの気持ちだけで、一緒にいる、いない、を決めることなんて、そんなこと出来る気がしません。

私が幸せになると、安心して喜ぶ人がいるから、なるべく幸せそうにしていたい
本当はどうであれ、周りからは幸せそうに見られたい、
そういった打算や思いがあるから、続けなきゃいけない関係の方が多いんじゃないかなー、
なんて、捻くれた考え方をしてしまいました。

愛のために何もかも投げ捨てて、愛に生きる、
そんなこと普通できないので、
確かに、この小説の展開はタイトル通りありふれた愛じゃないのかもしれません。