豆の上で眠る

湊かなえ(著者)

• 販売会社／発売会社: 新潮社
• 発売年月日: 2014/03/28
• JAN: 9784103329121

商品レビュー

2024/11/10

姉・万佑子の失踪の謎を追い続ける妹・結衣子の物語が失踪当時と現在を行き来する。
最後、そういうことだったの?!がいまひとつスッキリせず。

2024/08/28

なんでずっと隠してたの？結衣子が不信感を持っていることがわかっているんだったら、早々に取り替えがあったこと、家族で話をしたら良かったんじゃない？
8年間一緒だった万佑子ちゃん(ハルカさん)が、自分は血が繋がってないんじゃないかって思っていたとしても、今までの家族をサラッと捨てて実母の方に行くのもなんか解せない。
犯人探しに小1の結衣子を使うのも、えええ？って感じ。

2024/05/23

大学二年生の夏、故郷へと向かう新幹線での約二時間、思い出す童話がある。幼い頃に姉の万佑子ちゃんが読んで聞かせてくれた、アンデルセン童話『えんどうまめの上にねたおひめさま』だ。隣の席に座ったおばさんが連れた猫。昔飼っていた猫のブランカを思い出す。
童話も、猫も。普段の生活の中で思い出すことは滅多にないが、故郷に近づくにつれて、過去の記憶が蘇ってくる。万佑子ちゃんが行方不明になった日のこと。

久方ぶりにミステリーを手に取りました。
読む前からイヤミスであることは間違いないと感じつつ、読み始めるともう止まらない。結末でスッキリしたり清々しくなることはない、むしろ喉元になにか引っ掛かって抜けない嫌〜な気持ちになると分かっていても、尚。
やはりその通りの結末でした。
ひどい話だなと思いました。同時に、そうだと分かっていてもここまで読ませられる、あの時のこれか！とパラパラとページを捲らされるのは、流石だなと思います。
劇的な展開でした。あまりにも劇的過ぎやしないかと思ったところで、主人公の結衣子の「物語の主人公気分」という言葉に納得しました。そして、このお話のテーマとしてあった童話を思い出しました。幾重にも重ねられた寝具の下にある豆。その小さな違和感の正体を突き止める。突き止めたところで、幸せなのだろうかと考えてしまいましたが、違和感を持ったまま生きてきた結衣子、違和感の根源である姉のために家族に翻弄されながら、自分にできることをしてきた幼い結衣子を思うと、豆の正体を突き止めたこの先の方がまだマシなのかもしれないと思えました。
踏んだり蹴ったりだな、結衣子…。
この先の結衣子が狂うことなく適切なカウンセリングを受けて立ち直れますように。そう願わずにはいられないほど、結衣子が受けた傷は深く、家族の誰もそれに気付かず無頓着であったことが腹立たしい。

私なりの分析ですが。
母が結衣子に冷たいように感じられるのは、語り部が結衣子であることと、万佑子ちゃんを探すために訪れた家で起きた出来事が関連しているのだろうなと思いました。
色々と劇的な事が結衣子に起こる中でも、あれは強烈だっただろうな、と。きっと誰にも話せていないだろうし。
母親が結衣子にやらせたことは決して許されることではない酷いことだけれど、結衣子の言う「逆だったら万佑子ちゃんにこんなことさせないだろう」という考えは、あの出来事から繋がっていると思いました。あの経験により、自己肯定感が著しく低くなり、現在の大学生結衣子の思考に影響を与えているのだろう、と。

追記。
水ダウだったかでやっていた、幼稚園で一緒に遊んでいたお友達が全然知らない子になったら…って映像を思い出しました。
あまりにも子供の心や感性を甘く見ている酷い企画だなと思いながら見ていたのですが、それと同じ感想を結衣子の両親に感じます。あまりにも子供であった結衣子を侮り過ぎている、そのことが生んだ悲劇のお話でした。