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人間は料理をする(下) 空気と土
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | NTT出版 |
発売年月日 | 2014/03/13 |
JAN | 9784757160590 |
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人間は料理をする(下)
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商品レビュー
4.3
14件のお客様レビュー
人間を他の動物から隔てたもの——料理。原始からの調理法を火・水・空気・土の四大元素に振り分け、さまざまな料理の専門家に弟子入りした体験記と、神話学や考古学、食文化史と最新科学を行き来して「人間にとって料理とは何か」を考えるノンフィクション。 面白かった!導入部は現代アメリカの...
人間を他の動物から隔てたもの——料理。原始からの調理法を火・水・空気・土の四大元素に振り分け、さまざまな料理の専門家に弟子入りした体験記と、神話学や考古学、食文化史と最新科学を行き来して「人間にとって料理とは何か」を考えるノンフィクション。 面白かった!導入部は現代アメリカの一般家庭における料理時間の短さを憂慮し料理の意義を問い直す、という感じのカタい印象なのだが、序章が終わると多様な話題を連想で繋いでいくスタイルのくだけたエッセイになる。 火の章では豚の丸焼きバーベキューのピットマスターに弟子入りし、水なら煮込みと蒸し煮のプロに、空気ではパン職人、土では修道院でチーズを作るシスターに実地で学び、家で再現を試みたレポートが各章のメイントピックになっていて、この素人料理体験記部分がまず面白い。豚の丸焼き(ホールホッグ)バーベキューはアメリカ南部で「本物のバーベキュー」とされていて、人種を超える伝統食だという歴史認識がある料理とのこと。知らなかった。 上巻は火と水。肉を焼く火の料理は古代の儀礼と結びつけて語られる。人は神への供物として家畜を焼き、煙を神に捧げて焼けた肉は共同体で分け合った。それは肉を食らうことに伴う攻撃性を昇華させる儀式でもあったのだろう、と著者は豚の丸焼きを手でほぐすという重労働に勤しみながら考える。 火の料理が野蛮さを内包し、人びとを昂奮させるハレの存在だとすると、水の料理は反対に秩序と調和をもたらすケの存在。今度はテヘラン出身でレストランの副料理長経験もある女性の個人レッスンを受け、煮込みと蒸し煮のレパートリーを増やしていく。 ここでは鍋(土器)の発明が人間にとっていかにエポックだったかが力説される。食べ物をやわらかくし消化しやすくする鍋は「第二の胃」であり、人間の食域を広げ出生率と寿命を引き上げた。血の痕跡を消し去る煮込みは、人工的で文明的な料理の誕生を告げるものだった。 そもそも本書は〈料理仮説〉に基づいているのだが、料理仮説とは、ホモ・サピエンスは料理することで他の動物よりも咀嚼や消化の時間を短縮し、顎や内臓が小さくても済むようになった結果として大脳が肥大化したという説だそうだ。つまり人間を人間たらしめているのが料理であり、それは出来合いを食べるのではなく作り方や材料を知ることも含めるという思想。そのため、いわゆるテレビディナー的な冷食は文中でコテンパンに否定される。 下巻は空気と土。どちらも発酵を取り扱っている。空気はパンを膨らませる発酵で、土は腐敗と紙一重の発酵。 空気の章はパン職人の話も面白いのだが、それ以上に精白小麦粉をめぐる本末転倒の話が人間の欲望のおかしさを物語っていて興味深かった。発酵は微生物との共同作業なのに、精白小麦粉は"不純物"を取り除き、不確定要素をなくし全てをコントロール可能にしたいという欲望に応えて生みだされた。あまつさえ、全粒粉の状態から取り除いた栄養素をあとから添加物で補ったりしている。我々は一体何をコントロールしようとしているのか、とワンダーブレッドの工場に取材した著者は問う。消費者のニーズに合わせて発展してきたはずなのに、漫然と買い物をしている消費者自身が欲望の目的すらも見失っているのだ。 土の章ではチーズ、漬け物、アルコール類が俎上にあげられ、食べ物の長期保存を可能にした発酵技術を擬似的な死に見立てて考えていく。発酵食品のカリスマがいるサークルに取材したり修道院のシスターにチーズ作りを学んだりするのだが、発酵に携わる人は宗教色が強い。完全にはコントロールすることができないものに身を委ねるせいだろうか。人は発酵食品を食べることで善玉菌を腸内に取り込み、彼らと共生し代謝を任せてきた〈超個体〉であり、発酵食品と人体は似ているのだ。 料理を作って食べ、学んで書くという全ての動作が渾然一体となったようなテンポの良い文章と魅力的な食べ物の話が楽しかった。家庭で料理をする場面では息子との交流が描かれ、実家をでる歳が近づく息子とビールを仕込むエピソードはそこだけで良質なエッセイとして読める。性役割と料理については踏み込みきれてない印象だが、サミンやシスター・ノエラのような女性の弟子に就くことで料理の創造性と女性を結びつけようとしたのかもしれない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
小麦礼賛の世界で育ってないし、大体酒を作るということが全然身近ではないのに、なぜこんなに面白いんだ、、、 サワードゥブレッド作ってみたいな あと上下通して、「つくる」ことは独立心と全能性(自分の能力に対する自信)を感じることって言っていて、私の創作とか料理とかを好む一つの理由にそれあるなーって腑に落ちた
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わかりやすく具体的な内容で、上巻の「火と水」と併せて読み終えるまであっという間でした。 土の項で発酵は死に向き合う作業という一文にハッとしました。
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