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インドにおける代理出産の文化論 出産の商品化のゆくえ ブックレット・アジアを学ぼう
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 風響社 |
発売年月日 | 2013/10/01 |
JAN | 9784894897601 |
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インドにおける代理出産の文化論
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※このレビューにはネタバレを含みます
体外受精で生まれる子供は年間2万人、全出生の約2%を占める。 インドで10年に一度センサス(国勢調査)が行われ、帰属意識の高まりからカーストが強化している。 インドでは子供を持たなければ一人前と認められず、不妊治療は高い。 闇で代理母が行われるよりも、法律で保護したほうがいいという考え方で商業的代理出産を許可した。 臓器村と呼ばれるドナーが集中する地域もある。血液の売却は手っ取り早い現金化。代理出産は、臓器売買や売春に比べればよい仕事。女性らしい仕事で社会的に容認されている。 養子縁組は一般的ではない。不妊の女性は子宮が不毛な土地とみなされる。 避妊治療も報酬付きで行われている。生殖医療による身体介入が受け入れられている素地がある。 ヒンズー教では、生殖医療に対して寛容的。ヴェーダ科学と神話で認められている。インド人にとっては新しいものではない。 女性は卵子の採取のため2週間ほど滞在する。代理母は代理母の家で過ごす。栄養面、体の酷使などから守る。家族とは隔離される。そのまま代理出産関連産業に従事するケースも多い。出産後の赤ちゃんのお世話係、など。 代理母になることは秘密である場合が多い。金銭的な嫉妬を生みやすい。 家族のための自己犠牲的行為は妻として称賛される風潮がある。他者への贈与にもつながる。因果応報的なカルマ=良いことをしたからこその将来の期待がある。 アメリカでは、代理母のコミュニティがある。子供に対する面会権がある。インドでは海外からの依頼が多いのでそうはならない。 代理出産は、臓器や血液の売買、売春と類する行為だが、ケアワークとみなすこともできる。
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生殖医療は、技術の発展が目覚ましい分野である。技術的にできることは迅速に増えていくが、どこまでが許されるべきでどこからは忌避すべきなのか、国によって法律も異なる。 本書は、代理出産が比較的盛んであるインドを対象に、文化人類学的な視点を絡めてこの問題について考察する1冊である。 ...
生殖医療は、技術の発展が目覚ましい分野である。技術的にできることは迅速に増えていくが、どこまでが許されるべきでどこからは忌避すべきなのか、国によって法律も異なる。 本書は、代理出産が比較的盛んであるインドを対象に、文化人類学的な視点を絡めてこの問題について考察する1冊である。 インドは多様性の国である。宗教的・民族的にさまざまな人々が入り交じり、カースト制を背景に貧富の差も大きい。 外貨獲得を目的として、医療ビザ発行に政府が力を入れていたこともあり、外国からメディカル・ツーリズムでやってくる患者は少なくない。高等教育が英語で行われているため、医師などは英語を話すことができ、また安価で質の高い医療が提供される点も大きい。こうしたメディカル・ツーリズムが、近年、生殖医療にも広がっている。生殖医療の場合には、自国の法規制を逃れる意味合いも強い。 以前に比べると、インド国内で代理出産を求めるカップルも増えてきているようである。これはかつてに比べて複婚が当たり前ではなくなってきたことや、富裕層が増えてきたことによるという。 代理出産が増える一方で、費用や契約内容を巡るトラブルも生じてきている。 補助生殖医療(Assisted reproductive technologies)規制法案がまとめられ、2013年現在審議中であるが、この法案は報酬を認めている点でユニークであるという。 インドで代理出産が多く見られる背景には、以下のような理由が考えられる。 貧困層では、臓器売買も珍しくなく、身体提供に関して、非常に強くはタブー視されない。また一方で、代理母という役割は「女性的」であり、社会から容認されやすい背景がある。 依頼人がインド人である場合には、不妊の人に対する社会の目が冷たいため、実子として子どもを迎えられる代理出産が歓迎される側面もある。 インドは多宗教国家ではあるが、比較的多数派であるヒンドゥー教は生殖医療に寛容な立場を取っていることも1つの要因であるようだ。 代理母は巨額の報酬を得るが、制約も多い。妊娠期間中は病院の管理下に置かれ、家族との面会は週末のみである。 依頼人と代理母との関係は希薄でほとんど顔も合わせないことも多い。子どもの受け渡し等、媒介は病院が行い、多額のマージンが発生する。 代理出産は、不妊に悩む人をケアする側面も持つ一方、報酬が伴う場合には、身体を商取引の対象にするという側面を持つ。 そこにはやはり、単純な美談ではすまないものが潜んでいるように感じられる。 本書が興味深いのは、具体的な事例が丹念な調査でまとめられていることである。インド特有の状況をつぶさに見ていくことで、代理出産というものが持つ、普遍的な問題点が浮かび上がってくるように思われる。 <参考> 『生殖技術――不妊治療と再生医療は社会に何をもたらすか』
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