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鏡花紀行文集 岩波文庫
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鏡花紀行文集 岩波文庫

田中励儀【編】

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鏡花紀行文集 岩波文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2013/12/19
JAN 9784003127193

鏡花紀行文集

¥660

商品レビュー

3.5

3件のお客様レビュー

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2021/07/20

風景や生き物の描写が美しい。旅に出たくなる。鏡花さんはユーモアのある方だと思う。ご自分の潔癖さをネタにしたりしている。谷崎潤一郎さんのお宅を訪ねたエピソードなどもあるし、芥川龍之介さんにも触れていたりする。巻末の注が素晴らしくて、かなり助けられた。

Posted by ブクログ

2014/01/02

鏡花の紀行文とは珍しいが、そういえば後期の小説は旅情を背景としたものも多い。しかし紀行文集だから、この本は幻想的な小説群ほど面白くはない。「私小説」ふうな作品もつまらなかったが、これもそれに類している。 とはいえ、お化けや波瀾万丈の起伏が無かったりするぶん、この作家がいかに<文章...

鏡花の紀行文とは珍しいが、そういえば後期の小説は旅情を背景としたものも多い。しかし紀行文集だから、この本は幻想的な小説群ほど面白くはない。「私小説」ふうな作品もつまらなかったが、これもそれに類している。 とはいえ、お化けや波瀾万丈の起伏が無かったりするぶん、この作家がいかに<文章>という魔法に心血をそそいでいたかが明確になる。 鏡花初期の小説はそうでもないが、尾崎紅葉の弟子となり徹底的に文章を鍛えられ、さらに自身の江戸趣味を爆発させた結果、現代文とはいいがたい独特な読みにくさの文体が獲得された。おかげで、現在の読者にはひどくとっつきにくい作家となってしまった。 これらの紀行文でもしきりに東海道五十三次への言及が見られ、彼はとても好んでいたようだが、鏡花の文体はそういえば、江戸時代の読み物や、歌舞伎の台詞回しに似たような側面がある。 このアクロバチックな文体は、言葉だけで、華麗な美を描いてみせる。似たような趣向の作家としてはナボコフが思い浮かぶが、文体の精緻さは鏡花には及ばない。 泉鏡花という作家の<文章>には、西洋由来の概念である「芸術」よりも、「芸」という言葉の方がぴったりだ。その無心な「芸」が極められたところに、「春昼」のような絶美の「芸術作品」が結実したのだ。 鏡花が操作しているのはどこまでも「言葉」であって、しかもシニフィエとしてのそれよりも、次々と繰り出されるシニフィアンの舞踊であるかのように見える。 たとえば、鏡花は人物の個性とか人格に興味を寄せない。小説であっても、登場人物はその「内面」を披露することはなく、ただ、視覚的イマージュとして、視覚的な美の契機として、文章にあらわれ、通過してゆく。その意味でも、泉鏡花は非-西洋的である。 これらの紀行文でも、柳田国男や芥川龍之介、谷崎潤一郎といった文士が時折登場するのだが、鏡花は決して彼らの人物を浮かび上がらせようとはしない。まるで記号であるかのように、これらの著名人は通過していくだけだ。 これらの紀行文は私小説的な文学と言えるだろうが、興味深いのは、作家自身の微妙な心の揺れである。泉鏡花は迷信深く、すこぶる小心であったことは有名だ。彼の恐怖の対象は、この本の中では特に「自然災害」に対して向けられているのが印象的だった。 少年時代に出会った「洪水」のモチーフは、初期の小説数編に見事にあらわれ、カタストロフの感覚として、破綻する夢の記憶として、生理的な畏怖の感覚をもってえがかれていた。 この本の紀行文の幾つかでは「地震」への畏怖が登場する。関東大震災の経験への、「忌み」を伴った、腫れ物に触るかのような扱いも特徴的だし、さすが日本列島は地震だらけで、鏡花は行く先々で地震に出会って、怯えている。 西洋ロマン主義や表現主義とは異なって、鏡花の「恐れ」の感覚は決して叫びにはならず、彼の怪異小説も全然「ホラー」とは違う。 作家の感情は、自然な日常の時間に紛れながら、かすかな皮膚感覚のように、文章の「芸」の中に埋め込まれているだけだ。その意味では、以外にも「私小説」派の文学にも近いかもしれない。 このような鏡花文学は、翻訳不可能で、やはり日本的なものだろう。

Posted by ブクログ

2013/12/22

泉鏡花の紀行文集。 解説によると、意外なことに、鏡花の紀行文が1冊に纏まったのは初めてのことらしい。まずはそれを喜びたい。 私は西日本の出身なので、矢張り西日本のものを面白く読んだが、随筆とも小説ともつかない後半も同じように面白かった。 泉鏡花は果たして何処に旅したのだろうか。こ...

泉鏡花の紀行文集。 解説によると、意外なことに、鏡花の紀行文が1冊に纏まったのは初めてのことらしい。まずはそれを喜びたい。 私は西日本の出身なので、矢張り西日本のものを面白く読んだが、随筆とも小説ともつかない後半も同じように面白かった。 泉鏡花は果たして何処に旅したのだろうか。この世ならぬ場所に向かったのではないだろうか。 そんなことを思いながら旅先で読了。

Posted by ブクログ

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