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針がとぶ Goodbye Porkpie Hat 中公文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2013/11/22 |
JAN | 9784122058712 |
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針がとぶ
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商品レビュー
4.1
52件のお客様レビュー
私の読書疲れ改善策の一つが、「吉田篤弘作品を読む」(あくまでも個人嗜好)です。思うに、ブルース・リーの如く、「考えるな、感じろ!」がピッタリで、読むというより吉田さんの声とその「語りの肌触り」が好きなんですね。 吉田さんは、ストーリーがあってないような、日常のさりげない場面を...
私の読書疲れ改善策の一つが、「吉田篤弘作品を読む」(あくまでも個人嗜好)です。思うに、ブルース・リーの如く、「考えるな、感じろ!」がピッタリで、読むというより吉田さんの声とその「語りの肌触り」が好きなんですね。 吉田さんは、ストーリーがあってないような、日常のさりげない場面を非日常と巧みにつなげ、独特の世界観を創り上げている気がします。 本作は2003年刊行、7篇の短編集です。各話が独立しているようで微妙につながり、連作短編とも受け取れます。同じ人、物、土地が、ふと別の話に登場し‥。でも、その関連性も緩いので、集中して留意すべきことでもなく、絶妙なバランスです。 各話に共通しているのは、(他作品にも当てはまりますが)今ここにないもの、過ぎ去ったもの、あるけれど隠れているものにこだわり、優しい眼差しを向けている点です。 見えなくても、聞こえなくてもいいものまで明瞭にする、そのことに欺かれないよう、注意深く世界を見たり聞いたりすること。この姿勢は、私たちが忘れている大切な一面でもあるようです。 個人的に最も郷愁を誘ったのが、表題作の「針がとぶ」でした。LPレコードの針がとぶ一瞬に、(そこにあるはずの)聞こえない音楽を聴く経験、ジャケットを見ただけで脳内に音楽が流れる経験‥。ビートルズの「ホワイトアルバム」だっただけに、まさにドンピシャ! 切なくも温かい読後感でした。
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『針がとぶ』というタイトルを見て目が覚めるような感覚がした 吉田篤弘はタイトルのセンスにおいては本当に秀逸だと思う 『それからはスープのことばかり考えて暮らした』もタイトルに惹かれて読んだことがある この小説は人との繋がりの愛おしさを感じさせる 人との繋がりは常に曖昧で私は未だ...
『針がとぶ』というタイトルを見て目が覚めるような感覚がした 吉田篤弘はタイトルのセンスにおいては本当に秀逸だと思う 『それからはスープのことばかり考えて暮らした』もタイトルに惹かれて読んだことがある この小説は人との繋がりの愛おしさを感じさせる 人との繋がりは常に曖昧で私は未だに躊躇してしまう 誰かに興味を抱くことはいつも切ないと思う そしてこの小説には様々な癖が見受けらる 癖というものはとても狡いものらしく時が経っても癖の持ち主を思い出させるのだ 私も何か癖があったら誰かに思い出して貰えるのだろうか 考えて見たけれど何も思い付かない 私は「月と6月と観覧車」が最も好きだ バリカンのいじらしさが忘れられないのだ 月面という駐車場のネーミングセンスも堪らない
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『針がとぶ』、他6編。読めば読むほど吉田さんの作品が大好きになっていく。 『針がとぶ』は特によかった。ユイの個性的な伯母の言葉が私も好きになった。眼鏡をかけると、「見えなくていいものまで明瞭にしてしまう。そのことにあざむかれないよう、注意深く私はこの世界を見つめることにしよう。...
『針がとぶ』、他6編。読めば読むほど吉田さんの作品が大好きになっていく。 『針がとぶ』は特によかった。ユイの個性的な伯母の言葉が私も好きになった。眼鏡をかけると、「見えなくていいものまで明瞭にしてしまう。そのことにあざむかれないよう、注意深く私はこの世界を見つめることにしよう。」見えるからいいとは限らないんだ。そうだよね。 大好きな人の痕跡を解読する人はいなくなったという表現。失った人の大きさを感じる表現だと思った。時が止まったような感覚、何かを意味があるように感じる感覚。大切な人との別れを知ったときの感覚を思い出した。 グッドバイ ポークパイ・ハット 片笑い 伯母の口から出てきた言葉たち。その人の個性が現れる言葉や口癖は、忘れられない。そして、その言葉を忘れたくないと思う気持ちは大切にしたい。針がとぶレコードの瞬間に、意味を見いだす感性もとてもいいなと思った。 吉田さんの作品は、さりげないつながりがいつもある。私はそれがとても大好きで、読むのが楽しい。穏やかで、静かで、時にはっとさせられる言葉に出会うことができる、緩やかな水の流れのような文章を今回も楽しめた。
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