1,800円以上の注文で送料無料

襖の陰 二階堂家の兄嫁 双葉文庫
  • 中古
  • 書籍
  • 文庫

襖の陰 二階堂家の兄嫁 双葉文庫

葉月奏太(著者)

追加する に追加する

襖の陰 二階堂家の兄嫁 双葉文庫

定価 ¥680

605 定価より75円(11%)おトク

獲得ポイント5P

在庫なし

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 双葉社
発売年月日 2013/11/15
JAN 9784575516340

襖の陰

¥605

商品レビュー

5

1件のお客様レビュー

レビューを投稿

2013/12/09

二階堂家に蔓延る色欲のドス黒い歴史

今年(2013年)の3月出された『二階堂家の兄嫁』の、まさかの第2弾である。続編と記さないのは、本作の内容が前作の前日譚だからである。 【平治】 二階堂家の現当主。若き日の苦い思い出から今に至る性格形成と官能の変遷が綴られる本作の主人公。 【平太郎】二階堂家の前当主。平治...

今年(2013年)の3月出された『二階堂家の兄嫁』の、まさかの第2弾である。続編と記さないのは、本作の内容が前作の前日譚だからである。 【平治】 二階堂家の現当主。若き日の苦い思い出から今に至る性格形成と官能の変遷が綴られる本作の主人公。 【平太郎】二階堂家の前当主。平治の父。旧家の体面ばかりを重んじる性格ながら今の平治の写し鏡的存在の人。 【雪乃】 前作ではメインヒロインだった兄嫁は、本作ではサブながら平治との関係に至る秘密が判明している。 【ハル】 平治の若い頃に心身共の影響を与えた女中。慈母に溢れ、平治にとっては女神のような存在だが……。 他にもサブヒロンが2人登場するが、情交要員でもあるため、タイプの異なるキャラに沿った官能描写もしっかりあるにはあるものの割愛する。そして、前作では亡き人となっていた長男【恭平】が可哀想な役回りの脇役として登場するものの、主人公として雪乃に迫っていった次男【亮平】はほとんど出てこず、あくまで彼らの父親たる平治の大学受験期の物語として描かれている。 で、何が描かれているかと言えば、あれだけ毛嫌いし、決定的に仲違いしていた父でありながら、年を取るに連れてその父たる平太郎に似通った、ある種のモンスターのような存在になっていく平治自身の姿であり、そこにある二階堂家の淫猥でドス黒い血脈である。前作の第一章で描かれた平治と雪乃の関係が本作では平太郎とハルに重なり、かつては平太郎によって寝取られを味わった平治が現在では寝取りを叶えて恭平に見せつける、その色欲の輪廻が退廃的に本作を彩っている。決して逆らえない父を前に想い人が凌辱されていくのをただ傍観するしかなかった無力な青年が、時を経て、立場を変え、やはり同じ手法でかつての鬱憤を晴らすかの行為に及ぶところには一種の滑稽さや愚かさも感じてやるせない。 この青年期のクライマックスは第三章で訪れるのだが、本作の第一章では新婚間もない雪乃を実質的に奪う現在の平治(66歳)が描かれており、これが伏線として奏功している。なぜなら第六章で再び現在に戻って雪乃との「その後」を描くのだが、ここで見せる、いや、魅せる雪乃の本性とも言うべき別の姿が、前作に漂っていてレビューにも記した『兄嫁の言動がなかなかに不可解』の解答のようでもあるからである。実はハルにも相応に当てはまる部分があると思うが、二階堂家に仕える現在過去の女性陣もまた単なる手篭めの被凌辱者ではなく、言いがかりに近い大上段からの言葉責めに被虐の反応をして昂ぶってしまう、そして、現状の物足りなさを「旦那様」に埋めてもらう淫靡な資質を有していることの証左であり、この第六章の耽美な情交が、本作の第一章と対を成しているだけでなく、過去と現在を繋ぐ第三章とも対を成す、この見事な二重構成には唸らざるを得ない。

DSK

関連商品

最近チェックした商品