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北愁 講談社文芸文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2013/11/11 |
JAN | 9784062902144 |
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北愁
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北愁
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幸田文、その人を彷彿とさせるらしい主人公。どうも女性小説家の描く女性主人公は、わたしにとっては共感はできるんだけれど、こんな女どこにいるんだろう…と思う植物的な存在が多い気もする。それに対して、この小説はなるほどNHKの朝ドラにでもなりそうだなと思う(男女関係の不貞感が拭い去れな...
幸田文、その人を彷彿とさせるらしい主人公。どうも女性小説家の描く女性主人公は、わたしにとっては共感はできるんだけれど、こんな女どこにいるんだろう…と思う植物的な存在が多い気もする。それに対して、この小説はなるほどNHKの朝ドラにでもなりそうだなと思う(男女関係の不貞感が拭い去れないので決してなりはしないのだが)ようなチャキチャキ感というか、昔の女の生き生きした忙しさみたいなものがある。その上で、女の人生の一抹の寂しさのようなものがフッと吹く感じがして、たまらなく胸がしめつけられる。 タイトルは「北愁」なのだけれど、あそぎちゃんは一度も北へは行かなかった。いとこの順治の存在そのものが北であり、ときおり、心に北へのなんとはなしの想いが吹き荒れる。でもそれは激しい恋でもなく、どちらかというと懐かしさや憂いをもたらす感情で…ということだと思うのだけれど、読みながら恋愛感情の解像度の細やかさが素晴らしいと思った。恋愛感情、というと所謂こういうやつ、という画一的なイメージが蔓延っているのだけれど、現実に男女の間に芽生える感情というのは(もちろん同性間でもそうだけれど)人と人との相性によってもっと多岐に渡っており、それを「恋愛」「友情」「知り合い」みたいに雑な言葉で大別できるわけはなかった。その違和感みたいなもの、これは果たして愛と呼ぶべき感情なのだろうか、というそこはかとない関係に名前もつけられず、そしてそれは時間の流れとともにいつしか消えていく。これが人生という感じがして、胸が締め付けられる。夫婦の対する洞察も深い。人の世のままならなさを抱えて生きていく意味が少しずつ分かり始める。 帯文にも使われている「強いと云われるのは、寂しい気のすることだった」という文章が、いい。女はとかく客体化されやすいが、女だってどう周囲に評価されようと、その人その人の生きる悲しみみたいなものが心の奥にはあって、それが小説によって声を持たされているような、荒々しい文章のリズムの隙間に細やかな声がある小説だった。
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潔くってそれでいて懐深い。 日々のこと、まわりのこと、そして思うことをただ書き連ねる。ドラマチックでもなんでもないけど、文才あってできることだ。 強さは、ただ強いってだけではないんだよ。
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