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保守とは何か 文春学藝ライブラリー
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2013/10/18 |
JAN | 9784168130021 |
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6件のお客様レビュー
巻頭の「一匹と九十九匹と」は敗戦の翌年に書かれた恆存の戦後の批評活動の原点とも言うべき重要な論考である。学生時代に読んだが、脳天を砕かれるような衝撃を受けたことを鮮明に覚えている。他にも読み応えのあるものが多数収録されているが、これ一編だけでもこのアンソロジーを手に取る価値がある...
巻頭の「一匹と九十九匹と」は敗戦の翌年に書かれた恆存の戦後の批評活動の原点とも言うべき重要な論考である。学生時代に読んだが、脳天を砕かれるような衝撃を受けたことを鮮明に覚えている。他にも読み応えのあるものが多数収録されているが、これ一編だけでもこのアンソロジーを手に取る価値がある。 文学に限らず、政治的メッセージが込められた芸術にはあるいかがわしさが伴う。それは政治の冒涜である以上に芸術の冒涜であるからだ。文学が政治をテーマにして悪いとは言わない。要はそこに語るに足る人間が描かれているかどうかだ。僕らは戦後教育で与謝野晶子の「君死にたもうこと勿れ」が反戦歌であると教わった。だが反戦であろうとなかろうと、この詩が僕らの胸を打つのは、愛する弟に生きて帰って欲しいという姉の切実な願いに誰もが共感するからだ。それは政治によって決して代用することのできない文学の命だ。そのことを忘れて文学を政治の婢にすることを恆存は断固拒否した。 「善き政治はおのれの限界を意識して、失せたる一匹の救ひを文學に期待する。が、惡しき政治は文學を動員しておのれにつかへしめ、文學にもまた一匹の無視を強要する。・・・ぼくは政治の限界を承知のうえでその意圖を認める。現實が政治を必要としているのである。・・・善き政治であれ惡しき政治であれ、それが政治である以上、そこにはかならず失せたる一匹が殘存する。文學者たるものはおのれ自身のうちにこの一匹の失意と疑惑と苦痛と迷ひとを體感してゐなければならない。」
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福田恒存の保守主義入門書。 彼は戦後日本を跋扈した軽佻浮薄な「主義」「偽善と感傷」を批判し続けた。 エゴの折り合いでしかない「民主主義」という消極的制度を、あたかも積極的価値であるかのように勘違いしていく戦後の進歩的空気への警鐘、アメリカが「押し付けた」民主主義を日本の指導者も大...
福田恒存の保守主義入門書。 彼は戦後日本を跋扈した軽佻浮薄な「主義」「偽善と感傷」を批判し続けた。 エゴの折り合いでしかない「民主主義」という消極的制度を、あたかも積極的価値であるかのように勘違いしていく戦後の進歩的空気への警鐘、アメリカが「押し付けた」民主主義を日本の指導者も大衆もそれをアメリカから「押し戴いた」という事実。 相手に対して自由や独立は主張してもよいが、それを裁いてはならぬ。過去を現在から隔離し、現在とは無縁のものとみなしてはならない。過去は現在と同時存在であり、過去は現在のうちにある。 「抽象的な徳目の列挙で道徳が身につくと思うのは大間違い」(自然の教育)なのだ。逆に具体的な「愛着」をこそ味わい生きること。---等々。 浜崎洋介がピックアップしたアンソロジー。
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学生時代、70年安保を目前に控えた政治状況の中で、福田恒存は当時の保守派論陣の中で際立っていた。我々は、福田は保守=右翼と単純に切り捨て、その著作に興味すら抱かなかった。 しかし、それは極めて浅はかな態度であり、真の「保守」が何たるかを知ろうとせず、改革主義と保守主義の単純なニ項...
学生時代、70年安保を目前に控えた政治状況の中で、福田恒存は当時の保守派論陣の中で際立っていた。我々は、福田は保守=右翼と単純に切り捨て、その著作に興味すら抱かなかった。 しかし、それは極めて浅はかな態度であり、真の「保守」が何たるかを知ろうとせず、改革主義と保守主義の単純なニ項対立でしか物事を見ていなかったことが、古希を迎えたころからようやく理解できるようになってきた。 私の保守に対する嫌悪感は、自民党右派や日本会議に名を連ねた「自称保守派」例えば安倍晋三などを見ると、保守=右翼じゃないかと辟易とする印象があったからである。 福田の著述は、かなり難解であり、全てを深部まで理解できなかったが、次の一文で保守には、エセ保守と真の保守があることが分かっただけでも、本書の価値があると思える。 「保守派は、その態度によって人を納得させるべきであって、イデオロギーによって承服させるべきではない」この言葉は、マルクス主義に対しても右翼民族主義に対しても、それらを強く否定する目から鱗の言葉と言える。福田の言葉を現在の政治状況にあてはめると、中島岳志の言う、リベラルと真正保守は親和性があると言う「リベラル保守」という視点は今の自分には大変興味深い見解である。 2022.5.13公祥
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