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現代中国の父 トウ小平(下)
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現代中国の父 トウ小平(下)

エズラ・F.ヴォーゲル【著】, 益尾知佐子, 杉本孝【訳】

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現代中国の父 トウ小平(下)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 日本経済新聞出版社
発売年月日 2013/09/04
JAN 9784532168858

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2023/03/29

分厚い2冊の本だが長くは感じなかった。 大躍進や文化大革命など、明らかな失敗が露呈している中、共産党の権威を保ちながら国内を統制することがどれだけの困難だったかを考えると鄧小平が進めてきたやり方、安定を重視し、実験的に経済特区で慎重に成果を上げながら開放改革路線を進んで行った手腕...

分厚い2冊の本だが長くは感じなかった。 大躍進や文化大革命など、明らかな失敗が露呈している中、共産党の権威を保ちながら国内を統制することがどれだけの困難だったかを考えると鄧小平が進めてきたやり方、安定を重視し、実験的に経済特区で慎重に成果を上げながら開放改革路線を進んで行った手腕は偉大なリーダーとしての素質を存分に発揮しており、学ぶべき点も非常に多い。ブルジョア的な資本主義国の管理手法、技術、投資を呼び込むことが、共産主義のイデオロギーや帝国主義による搾取の記憶と相容れない性質であることも考えるとなおさらだ。開放の進める度合いとインフレの抑制のバランスもうまく党内で色んな意見が出せる安定した政治的な雰囲気があった点が大きかったのではないか。安全保障を優先して主要産業を内陸に移したままでは競争力は無かっただろうし、軍組織のスリム化や有能者の抜擢など、痛みを伴う改革を推し進めるのも高い政治力が求められたに違いない。経済特区を広東省などからスタートさせ、上海は後からになった点は意外だった。広東省では習近平の父・習仲勲が活躍していた模様。権力集中を懸念して2期限定の任期を成立させたのに、それを撤回し高級士族の太子党で周りを固めて軍拡を進めている中国はどこに向かっているのだろうか。鄧小平のあと、上海市長時代に学生運動を対話でうまく解決するなど実力を買われた江沢民がリーダーに選ばれ、さらに胡錦濤が続いたように成果や指導力が評価される良い時代だった。天安門事件については他のアジア国でのより過酷な弾圧に比べて、西側報道の過熱が色濃いが、自由を求める学生と専制君主による弾圧というストーリーが注目され、テレビ速報の報道力が相まって物議を醸していると分析。現代の感覚からいくと自国民間人に軍が発砲するなどもってのほかだが、ルーマニアのチャウシェスクやポーランドなど他の社会主義国で起きた事例が当局を焦らせた影響は大いにありそうに思えた。学生運動の中心となった厳しい受験をくぐり抜けてきたエリートからすれば、コネで入学してくるボンボンなど不満の対象でしかなく、常に政府の監視者がいてそこから仕事を割り振られる状況など考えてみるだけでも気の毒だ。現在中国は言論統制、極度の監視社会でディストピアまっしぐらだが、経済成長で豊かな生活を謳歌させた現代化の実績があるわけだから中国共産党の権威は十分国民の理解を得られるだろうしそこまで厳しく統制しなくてもよいのでは、と思ってしまう。格差拡大は開放路線の初期段階で想定されていたし、先に豊かになった人が貧しい地域に献身的な援助をする倫理観や民度が今こそ重要なのでは…儒教の誕生地なわけだし。

Posted by ブクログ

2014/01/11

 中国が世界第2の経済大国になる基礎は鄧小平という個性の存在によるものが大きい。鄧の人物に焦点を当てつつ、彼が信頼した部下・胡燿邦、趙紫陽を切らざるを得なかった事情、そして89年の天安門事件の背景とその後の展開を客観的な調査した事実に基づき淡々と書くがその動きの描写はドラマを見る...

 中国が世界第2の経済大国になる基礎は鄧小平という個性の存在によるものが大きい。鄧の人物に焦点を当てつつ、彼が信頼した部下・胡燿邦、趙紫陽を切らざるを得なかった事情、そして89年の天安門事件の背景とその後の展開を客観的な調査した事実に基づき淡々と書くがその動きの描写はドラマを見るよう。鄧が78年に3度目の復活をして、数年後に発展の基礎ができていたということには圧倒される。また鄧が米国、日本、韓国、ソ連、欧州と良好な国際関係を築いていく手腕父ブッシュ大統領、蒋経国との信頼の深さも凄い!驚きの連続。それらを学問的に節度を持って書いている。この本が中国で昨年出版され、ベストセラーにまでなった!中国の望ましい変化である。「領土問題は後の世代の知恵に」という彼の言葉は、心からの思いだったと肯ける。日中関係の改善へ向けてぜひこの本が貢献してほしい!

Posted by ブクログ

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