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パトロネ 集英社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2013/10/18 |
JAN | 9784087451276 |
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パトロネ
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商品レビュー
3.4
15件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『パトロネ』の主人公は、流れるように嫌なこと言う。黒板に爪を立てた時の音のような。思ったことそのまま書いてある居心地の悪さ。 おそらく表面上は静かに家にいるだけなのに、頭の中で目まぐるしく何かを考えているのが怖い。知らないはずの部屋がどんどん目の前に現れてくる。細部の質感の描写から全体が見えてくる。 何も喋らない妹のことを実況されるのも不気味だと思っていた。 りーちゃんが登場して、パリに飛び、おかしいと気付いた。主人公は既に死んでいて霊なのではないかと。そう考えるとすべて辻褄が合う。 『いけにえ』はこれもまた解釈が難しい作品だと感じた。悪魔、どう捉えたらいいのだろう。 主人公は美術品に疎いかもしれないが、正しい感性の表し方のような気がした。展示室の描写、それが感想そのものだと思えるし、興味がないどころか、主人公は不快に感じている。これも大事な感想ではないかな。 表向きは二人の娘の母として、妻として、普通に年相応のやり取りしてるのがまた不気味。二面性とまでは言わないが、家族以外に見せる顔が本来の久子という女なんだろうなという気がする。
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妹の撮った写真のフィルムを入れるパトロネを溜めるおねえちゃん。当たり前のような顔をして暮らしているのに、判断がおかしい。なのに本人は当たり前と思ってる。奇妙な味わいなのだが、おかしさが狂うとかそう言う精神的なものではなくて、ホントにこの人は常識が違うのかもと思わせる。そんなお姉...
妹の撮った写真のフィルムを入れるパトロネを溜めるおねえちゃん。当たり前のような顔をして暮らしているのに、判断がおかしい。なのに本人は当たり前と思ってる。奇妙な味わいなのだが、おかしさが狂うとかそう言う精神的なものではなくて、ホントにこの人は常識が違うのかもと思わせる。そんなお姉ちゃんが驚きの出来事に遭うのだが、お姉ちゃんが驚いてることに驚いたわ。 おもしろかった。
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本書のタイトルになっている「パトロネ」とは写真のネガフィルムがおさまっている円筒形の缶のことを指しているそうですが、Webで検索しても「パトローネ」でしか出てこない・・・。あえて正確な名前にしなかったのでしょうか。 その表題作、かなり手ごわかったです。お世辞にも仲がいいとは言えな...
本書のタイトルになっている「パトロネ」とは写真のネガフィルムがおさまっている円筒形の缶のことを指しているそうですが、Webで検索しても「パトローネ」でしか出てこない・・・。あえて正確な名前にしなかったのでしょうか。 その表題作、かなり手ごわかったです。お世辞にも仲がいいとは言えない妹、市民公園の鯉、写真部のるりちゃん、皮膚医院の先生、突然家に現れたりーちゃんなど、いくらでも面白くできそうなガジェットを散りばめておきながら、そのほとんどがストーリーの中で未消化のまま投げ出されてしまっているように初読時は思え、なんじゃいなこれはという感じで困ってしまいました。しかし解説を読んで改めて再読してみると、前述したガジェットが作り出した世界と、主人公の意識下の世界との距離感(ずれといったほうがいいかも)を味わう作品と理解しました。これまで読んだ作品の中では一番純文学度が高いと思います。 実はここまで書き終えてから他の方の感想で、主人公の女性が実は**だったのでは、という解釈を読み、なるほどなあと感心しました。自分はそこまで思いつかなかったなあ。(とはいえ、それが真実だとしても不自然な部分は残るのですが) もう1作は芥川賞候補にもなった「いけにえ」。地方の美術館を舞台に、監視員の女性が美術館に棲みついた二匹の悪魔を捕まえようとするというヘンテコなお話です。こちらのほうは従来の藤野さんらしい作品と言っていいでしょう。ラストシーンは個人的には文句なしなのですが、そこにいくまでがちょっと長かったかな。
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