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村上春樹 読める比喩事典
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村上春樹 読める比喩事典

芳川泰久, 西脇雅彦【著】

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村上春樹 読める比喩事典

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 ミネルヴァ書房
発売年月日 2013/09/27
JAN 9784623067268

村上春樹 読める比喩事典

¥2,750

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2020/06/23

英語ではレトリック。日本語では修辞法。言い回しを変える、言い方にひと工夫を加え、美しくかつ適切に表現し、相手の感情に訴える表現手法。その代表格が比喩で、直喩・隠喩・換喩がある。その他、反語・体言止め・擬人法も含まれる。レトリックは文学者のみならず、表現に携わる者なら身につけておく...

英語ではレトリック。日本語では修辞法。言い回しを変える、言い方にひと工夫を加え、美しくかつ適切に表現し、相手の感情に訴える表現手法。その代表格が比喩で、直喩・隠喩・換喩がある。その他、反語・体言止め・擬人法も含まれる。レトリックは文学者のみならず、表現に携わる者なら身につけておくべき技巧。 とは言え、我が国の文学、とりわけ純文学においては比喩の多用は長きにわたり禁じ手の扱いを受けていた。日本近代文学の源流は、明治時代に生まれた「自然主義文学』にある。人間の本質を赤裸々に描くリアリズムがメインストリームとされ、その考えに照らせば、比喩は『所詮文章を飾る装飾』に過ぎず、ゴテゴテと大袈裟なフリルのついたドレスを着たがる少女のようだという直喩でもって、歯牙にもかけずに片付けられた。 それを知ってか知らずか、もしくは確信犯的に村上春樹はデビュー以来一貫して比喩を多用。青春期の読書がアメリカ文学に傾倒していたこともありあの独特の作風と文体が生まれ、純文学界に一石を投じたことは紛れもない事実。 純文学とか大衆文学とかジャンル分けは読み人にとってはどうでもよく、特に若い人にとっては、村上春樹の文章がひとつの規範にさえなっている。普通に考えれば、純文学であっても、面白く読ませようという工夫は必要だと思いますがね。 時にキザ、時にユーモラスに、時に状況を簡潔に言い表し、時に煙に巻く…比喩の持つ様々な効用を熟知し、使い分けてきた村上春樹の比喩を指して、著者は語る。『村上春樹はじつにありのままに語ること、あるいは私小説のように語ること、自然主義の獲得した小説言語で語ることを忌避することで、自らの小説を書いてきた』と。 本書は『風の歌を聴け』から『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』までの長編から特徴的な比喩を選び出し、さらにテーマ毎に分類。それらをたどりながら各作品のエッセンスも合わせて紹介した一冊。 長年、村上作品を読んできた者としては、懐かしくもあり、新たな発見もあり、擬似再読体験を味わえた時間だった。 比喩の中で一番記憶に残っているのは、デビュー作『風の歌を聴け』に登場する比喩。主人公「僕」は相棒の『鼠』とともに一夏に飲みに飲んだビールの量を評し、 【25メートル・プール一杯分のビールを飲み干した…】というアレ。38年前に初めて読んだ一冊目なのに、比喩の中では、やっぱしコレなんですなぁ。

Posted by ブクログ

2013/12/29

最近、どうしても村上春樹が面白いと思えず、その原因を知る一助になるかと思い借りてみた。 作品の具体的表現を取り上げて、詳しく掘り下げ解説されているものと思っていたのだがそうではなく、タイトル通りいわゆる「事典」。 様々な作品の中から具体的表現をいくつも抜き出し、46のテーマごと...

最近、どうしても村上春樹が面白いと思えず、その原因を知る一助になるかと思い借りてみた。 作品の具体的表現を取り上げて、詳しく掘り下げ解説されているものと思っていたのだがそうではなく、タイトル通りいわゆる「事典」。 様々な作品の中から具体的表現をいくつも抜き出し、46のテーマごとにくくってまとめ、解説を付けたという形式だった。 ある作品の表現を取り上げて考察するという2ページ程度のコラムが11、第二部として、表現構造をより詳しく文脈から読み解き解説したレクチャーが5つで50ページ程度で、著者の文章は全体の中の3分の1くらい。 このレクチャーは、意味不明で何を言っているのか訳が分からない箇所もあり(私の理解力不足かも…)今ひとつ。 ただ、13の作品を読んでそこから、これはという比喩表現を抜き出し、テーマを決めてテーマごとに割り振ってという作業を想像すると…結構途方もない。 すごい労力。お疲れ様でした。 私の謎の解明にも至らず、可もなく不可もなくという読了感ではあったが、いくつか共感できることも。 そうか~、そういえば比喩表現が新しかったよね、30年前には、と今頃思いあたった私。 確かに、比喩だけでなく自然主義とは全く違う突拍子もなさがとても新鮮だったかも。 あと「小さくて沢山」。あるある、村上作品によくある~~。ジブリ映画にもあるよな~、小さくて沢山。あ、小さくて沢山というよりは、沢山がうじゃうじゃうごめく、って感じか。 作品が書かれたのが30年とか40年とか前であっても(もちろんもっと古くても)、ちっとも古臭くなく現在でもまったく魅力が色あせない作品というのは古今東西たくさんあるけれども、時代の流れを感じることはやはり多々あり、たとえば携帯電話がないがゆえに主人公に連絡を取るすべがなく、そのせいで何か事件になるとか、本書で取り上げられていたのは、主人公が知らない街で目的地へ行くのに、地図を広げ、要領を得ずタバコ屋で道を訊くというくだりだが、そんなこととか。あるある。 確かにね~、どこにいても簡単にいろいろなことが即座に調べられるなんて、本当にここ数年のことだもんね…。 著者は「作家のなかで現在と地続きだと思っていた作品群の間に断絶がある」なんて書いていたけれども。

Posted by ブクログ

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