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間主観性の現象学 その展開(Ⅱ) ちくま学芸文庫
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間主観性の現象学 その展開(Ⅱ) ちくま学芸文庫

エトムント・フッサール(著者), 浜渦辰二(監訳), 山口一郎(監訳)

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間主観性の現象学 その展開(Ⅱ) ちくま学芸文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2013/09/12
JAN 9784480095749

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2013/11/04

 とにかくウルトラ級に難解なフッサール哲学だが、この本ではテーマが他者からさらに、「我々」、共同体(「愛の共同体」なんていう箇所もある!)へと視野を拡大していくのが興味深い。  フッサールの現象学は、私たちの目から見ると認知心理学(心理学唯一の科学的部門)と密接に関連してくるはず...

 とにかくウルトラ級に難解なフッサール哲学だが、この本ではテーマが他者からさらに、「我々」、共同体(「愛の共同体」なんていう箇所もある!)へと視野を拡大していくのが興味深い。  フッサールの現象学は、私たちの目から見ると認知心理学(心理学唯一の科学的部門)と密接に関連してくるはずだが、フッサールは心理学を一切排除している。けれども、その哲学は古典心理学と同様の限界を持っているように見える。それは、思索が「内省」から始まり、ついに「内省」の内側で完結してしまうという点だ。  内省だけを出発点とするために、フッサール哲学はのちのハイデッガー、サルトルと同様に、「主観」の世界を第一とし、そのあとで他者と出会うという形をとるため、独我論から脱出するために四苦八苦せざるを得ない。  ここでは他者はあくまでも「他我」としか認められないのである。  しかし、現在我々はミラーニューロンなるものを既に知った。他者は、瞬時に近くされゲシュタルト化されると同時に、その行動や情動が生化学的作用として「私」に伝達されるのである。  つまりフッサールやハイデッガーが必死になって取り組んだ「意識」などよりもはるか先の段階で、生化学的に、他者の存在は把握されてしまっている。  主観から出発したフッサールは「間主観性」などという珍妙な概念を弄せざるをえなかったが、むしろ主体=私が現出する以前に、他者ははるか昔から存在しており、他者の現出によって初めて、「私」は存在を始めるのではないだろうか。  フッサールは心理学を排除したから、乳幼児期の知覚発達についてこの本ではほんの一カ所で触れているに過ぎないが、主体という現象を見つめるとき、やはり発達心理学も援用するべきではないのかという気もする。  では、脳科学の進んだ現在、フッサールを読む意味はないのかというと、そんなこともないだろう。この緻密な思考は、追いかける価値がある。このすこぶる難解な文章は、フッサールが「最高に厳密なドイツ語表現」を目指したからだろうし、翻訳によって日本語として読むのはかなりしんどい。  それでも、ハイデッガー以降の頑なな自我論理に比べればずっと柔軟で多義的なフッサール哲学は、やはり容易にくみつくし切れない多彩な魅惑をはらんでいる。

Posted by ブクログ

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