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ローラ・フェイとの最後の会話 ハヤカワ・ミステリ文庫
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ローラ・フェイとの最後の会話 ハヤカワ・ミステリ文庫

トマス・H.クック(著者), 村松潔(訳者)

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ローラ・フェイとの最後の会話 ハヤカワ・ミステリ文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 2013/08/10
JAN 9784151799518

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2022/02/10

トマス・H・クックは、一時期はまってよく読んでいた。『◯◯の記憶』っていうタイトルがやたら多かったのを覚えている。今からもう20年も前のことだ。 すでに起こった事件の真相を、関係者の記憶から事実だけを拾い集め、繋ぎ合わせることによって明らかにする。当時はそれがとても面白くて面白く...

トマス・H・クックは、一時期はまってよく読んでいた。『◯◯の記憶』っていうタイトルがやたら多かったのを覚えている。今からもう20年も前のことだ。 すでに起こった事件の真相を、関係者の記憶から事実だけを拾い集め、繋ぎ合わせることによって明らかにする。当時はそれがとても面白くて面白くてたまらなかった。今回読んだこの『ローラ・フェイとの最後の会話』もそんな感じだ。 歴史学者のルークは、講演のためにセントルイスを訪れた。その会場で再会した意外な人物、ローラ・フェイ・ギルロイ。彼女はルークの父親が死に至る原因になったとされていた女性だ。この約20年振りの再会は、もちろん偶然なんかじゃない。 なぜ今になって彼女がルークの元を訪れたのか。 ルークは不審に思いながらも、ホテルのレストランで酒を飲みながら昔話をする。 彼女の目的は一体何なのか。 ルークにはそれが分からないし、読んでいるわたしはもっと分からないまま、ずっと二人の会話に付き合わされる羽目になる。なんせこの三人(ルークとローラ•フェイとわたし)の中では、わたしが圧倒的に不利な状況だ。だって一番手持ちのカードが少ないんだから。 まさかこのままこのお店で、二人の会話のみでストーリーが進むんじゃなかろうかと嫌な予感がする。そして、その予感は的中してしまったのだけど、でも決して「嫌な」予感ではなかった。 結果的には面白かったからだ。 思わせぶりなローラ・フェイには何度も愛想を尽かしそうになったが、お終いまで読んでみれば、彼女がああいった方法で会話を続けるしかなかったことが分かる。 この世で最も絶望的なのは天災だと思う。 でも一番恐ろしいものは、人間の心から生まれる。 それは元々は全く違うものだったのに、もしかしたら美しいものだったかもしれないのに、いつの間にか変わってしまうこともある。わたしたちのこの心から生まれ、やがて手に負えない魔物になってしまう。 救いのある結末で本当によかった。

Posted by ブクログ

2021/08/08

新宿ブックファーストの文庫棚で、蛍光イエローの背表紙が私の目を引き付けた。向日葵の写真が使われた表1も。新作? 『サンドリーヌ裁判』よりあとの作品かと思いきや、以前の作品だった。 もちろん、クックお得意のパターンなれど、今作は主人公とローラ・フェイとの会話劇のような濃密感が特長...

新宿ブックファーストの文庫棚で、蛍光イエローの背表紙が私の目を引き付けた。向日葵の写真が使われた表1も。新作? 『サンドリーヌ裁判』よりあとの作品かと思いきや、以前の作品だった。 もちろん、クックお得意のパターンなれど、今作は主人公とローラ・フェイとの会話劇のような濃密感が特長的。 人は、過去の消したい記憶を、消したいと思いながら何度も繰り返し思い起こしてしまう場合もあれば、本当に“その部分”の記憶をあやふやにしてしまう術も持ちあわせている。 恐ろしいほどの己のエゴと、それが起因した取り返しのつかない過ち。封印していたであろう過去が、ローラ・フェイとの再会で、じわりじわりと、行ったり来たりしながら、核心に近づいて、パンドラの箱が開けられる。このあたりの緊迫感は、クックの真骨頂ですな。 数々の思い込みと、偏見を持った推測による誤解と、幼き自分では見通すことができなかった真実。家族愛、親子愛、夫婦愛も、ぜんぶがセオリーなどなくて、千差万別の形があると、その哀しさを想う。そして愛だけでなくて、疎ましさも、疎ましさの向こう側の真っすぐでないけれど確かな愛情なども、失ってみて、振り返って、気付いて愕然とする。 クックの作品は、最後にちゃんと救いが用意されていることが多い。この作品も同じく。大事なことに気付く、気付かされるクックの小説の主人公たちは、いつもそれなりに年老いているのだけれど、願わくば、でき得る限りはやく、己の“真実”と向き合い、行動すべしと、彼は手を変え品を変え語りかけてくるのだ。 THE LAST TALK WITH LOLA FAYE ©2010 by Thomas H. Cook

Posted by ブクログ

2020/08/13

クックの「記憶シリーズ」が 好きすぎて 全作読んでいます。  97年MWA賞受賞した『緋色の記憶』に 『夏草の記憶』『死の記憶』などなど。  "記憶"を題材にした ストーリーに惹かれます。  記憶って 記録とは違って あくまでも 自分自身が思...

クックの「記憶シリーズ」が 好きすぎて 全作読んでいます。  97年MWA賞受賞した『緋色の記憶』に 『夏草の記憶』『死の記憶』などなど。  "記憶"を題材にした ストーリーに惹かれます。  記憶って 記録とは違って あくまでも 自分自身が思い込んでいる 主観的なものに過ぎませんよね。  でも とても大切なもので ある意味 人生は 記憶の積み重ねから出来ている と言っても 過言ではありません。  自分が信じたい自分。 自分にとって望ましい過去。  でも その記憶が 実は 違う角度から眺めてみると 全く 別のストーリーだったとしたら・・・?  主人公ルークは 生まれ故郷を捨て 都会に出てきた  パッとしない歴史学者なのですが  ある日 セントルイスで開いた講演会で 家族の忌まわしい過去に繋がる ローラという女性と 20年ぶりに再会。  嫌々ながらも 彼女の求めに応じ ホテルのラウンジで 昔話をすることに。  そこから 現代と過去を行きつ戻りつ 少しずつ過去の記憶が甦っては ねじれてきて・・・  全体的に 渋めで落ち着いたトーンも かなり好みです。

Posted by ブクログ

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