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人びとのための資本主義 市場と自由を取り戻す
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人びとのための資本主義 市場と自由を取り戻す

ルイジジンガレス【著】, 若田部昌澄【監訳】, 栗原百代【訳】

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人びとのための資本主義 市場と自由を取り戻す

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 NTT出版
発売年月日 2013/07/26
JAN 9784757123076

人びとのための資本主義

¥770

商品レビュー

4.3

3件のお客様レビュー

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2020/04/29

 しごく全うなことが書かれてあった。  スポーツでもビジネスでも見られる賃金不平等拡大の原因は一言に要約できる。グローバリゼーションだ。グローバリゼーションは競争を激化させ、最高であることへの報酬を高め、そうして不平等を拡大している。  …競争市場は資源の効率的な配分をもたら...

 しごく全うなことが書かれてあった。  スポーツでもビジネスでも見られる賃金不平等拡大の原因は一言に要約できる。グローバリゼーションだ。グローバリゼーションは競争を激化させ、最高であることへの報酬を高め、そうして不平等を拡大している。  …競争市場は資源の効率的な配分をもたらすのだ(いわゆる厚生経済学の第一定理)。  (企業は)独自のやり方で政府に無償の助成を差し出させて、いっそう潤っていく。だから退勤を費やしてワシントンでロビー活動を行なうのだ。しかし結果として自由市場システム全体の状態は悪化していく。…企業人にビジネスのルールを定めさせるのは危険である。救済策が市場の機能をいかに弱めるかを考慮しないからだ。  知的エリート層と人民の乖離は、最も危険な形のポピュリズムを容易にかき立てられる―とくに腐敗が認知され、その結果としてワシントンへの憤りが高まっているときには。知的エリート層が信頼できなければ、反知性主義がはびこり、政治討論の質が劣化する。この劣化が次には、知的エリート層にまたぞろ優越感をもたせる理由となり、その感情が集団思考を悪化させ、さらなるポピュリズムの反動をかき立てるのだ。  規制の執行と陳情のコストも計算に入れれば、当初は非効率に見えた多くの選択肢が、大局的に見れば効率的になる。だから規制を簡略化すると、抑えたい歪みを抑えるという点では非効率になるだろうが、実際は総費用を減らし、透明性を高める。  …捕獲を抑えるためには限定的かつシンプルな規制が必要であり、内部告発者の報酬システムで守らせるのが望ましい、…。ロビー活動を防ぐ最善の方法は、産業助成をなくす法律を導入し、不公平な助成による損失を取り戻す訴えを起こす権利を市民に与えることで支援することだ。  税には三つの潜在的な機能がある。税収を上げること、インセンティブを修正すること、所得を再分配することだ。  経済学の重要な知見の一つとして、行動への影響が最小の人に最大に課税すべきだ、ということがある。  経済学者は、非効率性を市場の欠落と言い表わすことを好む。市場は個人の私利を活用して、公益を生み出す効率的な方法を提供する。よって、そうした活用ができないとき、市場が欠落しているに違いないと考えるのだ。たとえば公害は、汚染物質排出権の市場の不在の影響と見なせる。だから、驚くにはあたらないが、経済学者は欠落していると思われた市場(つまり排出量の市場)を創出することで公害問題に取り組もうとした。  私が思うに、究極の欠落している市場とは、市場自体のルールを設定する権利の市場である。社会全体が競争市場の恩恵をこうむっているのに、誰もその市場を創出する費用を進んで払おうとしない。原則として、政治的競争がこの欠落したインセンティブを提供するべきだ。つまるところ民衆が競争市場から利益を得るならば、この原則を擁護する政治家が選挙に勝つべきだ。あいにく政治の市場は、権力の不均衡と、有権者の経済問題についての無知で歪められている。どの政策が本当に競争を推進するのかを有権者が知らされなければ、政治家はその政策を推進したところで報われない。歪められた政治の市場は、クローニー資本主義の勝利を許してしまう。私たちは、社会規範が市場の失敗への対処に役立つのを見てきた。競争を推進してクローニー資本主義に抵抗する努力に社会的名声を与えることが必要だとの認識を高める、その助けに、本書がなることを私は願っている。  クローニー資本主義を抑える最良の方法は、ロビイストの競争の公平を保つことである。完全に公平にはならなくとも、データ開示、内部告発法令、クラスアクションがきっと現在の偏向を正す助けになるはずだ。

Posted by ブクログ

2014/05/07

前半は問題点、後半は解決方法という構成になっており、筆者の主張がわかりやすい。クローニー主義や生産性の向上に対応しない賃金上昇の実態などがわかりやすく述べられている。誰もが感じてい不平等感が明示されているといいかえてもいい。 P175の農業の例のように、インセンティブとそれに見合...

前半は問題点、後半は解決方法という構成になっており、筆者の主張がわかりやすい。クローニー主義や生産性の向上に対応しない賃金上昇の実態などがわかりやすく述べられている。誰もが感じてい不平等感が明示されているといいかえてもいい。 P175の農業の例のように、インセンティブとそれに見合う結果についての議論が最もおもしろかった。 ボリュームがあるが読みやすい。

Posted by ブクログ

2013/12/01

業績主義が魅力だったアメリカの資本主義が、今では著者の故国イタリアのようなクローニイズム(縁故者びいき)の資本主義に堕してしまっているとし、その問題点と解決の方途を論じている。 資本主義の真髄は「競争」にあるが、巨大な力を持ってしまった金融機関や、市場原理から乖離したロビー活動...

業績主義が魅力だったアメリカの資本主義が、今では著者の故国イタリアのようなクローニイズム(縁故者びいき)の資本主義に堕してしまっているとし、その問題点と解決の方途を論じている。 資本主義の真髄は「競争」にあるが、巨大な力を持ってしまった金融機関や、市場原理から乖離したロビー活動、補助金政治の肥大化など、公正な競争の機会を奪い、鈍化させ、パイを少数者に奪われる現代版クローニー資本主義は至るところにある。 だからといって、資本主義自体を否定することは間違っていて、求められるのは、自由市場を破壊するのではなく救う方向へ向かう「市場派(プロ・マーケット)ポピュリズム」なのだと著者は言う。 ポピュリズムという言葉が持つ否定的なイメージに対して、著者は「確かなポピュリズムの伝統がある国でのみ、ポピュリズム運動は急進的かつ非生産的な政策を避けることができる」(p. 163)とし、アメリカはそれができる国であるという。 このあたり、アメリカが本当にそうなのかな?と疑問を持つが、人民の力を集結して立ち向かわない限りは、クローニイズムには勝てないという問題意識は理解できる。 後者に勝つためには、市場経済の繁栄につながる社会規範・倫理を確立し、また、あらゆるデータを手に入れることであり、さらにそれらはポピュリズム的な動きがないと対抗する力となり得ない。 ポピュリズムのうねりによって、たとえば、社会的規範を逸脱するロビー活動や過度の利得追求の行動を恥ずかしいと思わせ、クローニイズムの動きを是正させることができるからだ。 ある意味、ポピュリズムが果たす役割は、クローニー資本主義を壊し、競争や業績主義に戻すティッピングポイントみたいなものを生み出すことだろうか。 テーマのわりにとても読みやすい本。

Posted by ブクログ

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