ユダヤ人の教養 グローバリズム教育の三千年 ちくま新書

大澤武男【著】

• 販売会社／発売会社: 筑摩書房
• 発売年月日: 2013/08/07
• JAN: 9784480066923

商品レビュー

2024/09/30

教皇ピウス12世を批判した「ローマ教皇とナチス」の著者だが、この本で使っている聖書がバルバロ・デル・コル訳なのでカトリックの信者なのだろう。バルバロ・デル・コル訳とドン・ボスコ社から講談社に移籍してバルバロ神父の個人訳になった通称バルバロ訳の旧約聖書の書名が独特なので「第二法の書」がバルバロ・デル・コル訳なりバルバロ訳なりを読んでいないと申命記だと分からないのではないか。
　ユダヤ教徒が教育に熱心なのは高い教育を受けて医者や弁護士のような手に職をつけた方が追放されたり亡命を強いられても生活出来る面があるだろう。しかしドイツのユダヤ人学校だけを見ているのか？超正統派のトーラーとタルムードを一生学んで過ごす生活には気がついていないらしい。超正統派の学習も「ユダヤ人の教養」なのだが。ある意味において中国で科挙が出世への道になった宋代以降に頭のいい子どもを四書五経や詩文を学ばせた光景が前近代のユダヤ教徒が優秀な子どもに教育を受けさせたのと似ている面もあるだろう。

2024/04/06

本書はユダヤ人の教育に対して突っ込んだ分析が不足している。
対話や批判的意見のやりとりは、欧米なら多くの国の義務教育で実施されているはずだ。なぜ、ユダヤ人が優れているかがわからない。
とはいえ、ユダヤの歴史に関しては知らなかった部分が多く、有益だった。
批判的精神を養う教育、行き過ぎた管理教育の見直し、義務教育での留年制度などは傾聴に値する。

2023/03/22

ユダヤ人が世界で活躍しているとよく聞く。
その秘訣がどうやら教育にあるという事を知って、本書を購読した。

ユダヤ人は、ディアスポラ（四散）の生活をしながら、各地で生き抜くために子の教育に力を入れてきた。
その教育は、質問、討論、対話により学ぶという姿勢。
著者は日本の教育と対比して、日本の教育を危惧している。

日本ですぐにユダヤ人のやり方に倣うことは難しいかもしれないが、その考え方は大変示唆にとみ、倣うべきだ。