結局のところ、なぜサムスン電子なのか？ ジョブズの革新を超えたギャラクシーSの物語

キムビョンワン【著】, 佐々木朋美【訳】

• 販売会社／発売会社: イカロス出版
• 発売年月日: 2013/07/31
• JAN: 9784863207561

商品レビュー

2013/10/03

元サムスン社員によるサムスン賛歌

本書を端的に表現すればこうなります。
本書の内容を大まかに言えば、

サムスンはアップルiPhoneの韓国市場投入と言う危機を見事に跳ね返し、今ではアップルを凌駕した。
これを実現した要因は、イ・ゴンヒの卓越したリーダーシップとサムスンの企業文化である。

と言う物です。

本書内ではこの主張が繰り返し、表現を変えながら登場してきており、またこの流れに沿った形で各種情報を引用してます。
基本的に精神論が多く登場する本となっていますが、しかし最後の方にはサムスンがマーケティングに年間13兆ウォン（本書では13兆円と誤記）も投じている事や、迅速に製品開発を行える体制を整えている事等が書かれており、同社の強みが浮き彫りになっています。

また行動の大切さを強く主張しており、その点は納得のいく内容となっています。

しかし本書を率直に評価すれば、かつて日本でも見かけた企業本と同じ類のものではないかと思います。
これらの企業本の多くは、日系メーカーの好業績の要因をその企業の企業文化などに求めており、その点、本書と同じです。

文章自体は、まるで演説が得意な人の巧みな演説を聞いているかの様な、とても読みやすいものとなっています。
これは同じ主張が繰り返されていると言う点が影響を与えているのかも知れませんが、読みやすさには変わりがありません。

しかしながら、上記の通り精神論に重きを置いた内容となっている他、「これからはハードウェア重視ではなくソフトウエア重視の姿勢が大切」と言った旨を述べながらも、サムスンがアップルを超えた革新企業になったと述べる際には両社のハードウェアの比較を自説の根拠としており、その内容に首をかしげる点も見当たります。

とは言え、2カ所ほど日本語として若干難がある個所があった他は、上述の通りとても読みやすく快適に読み進められます。
その所為もあるのでしょうか、読んでいて上の例など、内容に矛盾点、疑問点を見つけても何とか気にならずに最後まで読む事が出来ました。

この他に、著者が重要な個所と思っている所が太字で印刷されている等、読者に配慮した作りとなっていますので、「どんな内容なのだろう？」とちょこっと気になったらお読みになるのも良いのではないでしょうか。

2013/10/02

8章
なぜ危機下でかてるか？
1.世界最速
開発が企画、開発、機構の同時並行
開発チームが同じビルにいる(2時間以内)
工場間をヘリでつなぐ
マイシングルで5分以内に出張決裁
E-CIM 生産管理とPDM 設計開発管理
1-3日単位の生産計画、そのための生産、販売業者、流通網、在庫、リードタイム、受給予測システムをITで繋いでいる

2.世界最大のスケールメリット
地域専門家制度 1年の現地生活1億ウォン 4000人
93年 李会長の新経営宣言 1000人以上がフランクフルト
不良品携帯電話の焼却500億ウォン
7・4制度 7時出社
いちはやい大規模投資
13兆円のマーケティング費用

3.ハイレベルに完璧を求める
子供と女房いがいをすべて変える
個人の行動から変える
半導体事業の買収 74年
アナログでは遅れをとったがデジタルではトップに立てる
1995年の韓国市場で携帯トップシェア→このタイミングで危機宣言(世界一流企業も没落する)
先見性と大胆な投資＋危機意識と変革＝

4.独自の企業文化
選択機会が人を動かす →自己決定理論
サムスン憲法 →人間味と道徳、礼儀、エチケットを重視

サムスンマン →CEO士官学校(他社に人材を排出する)
広告コピー "サムスン製は違います"

キーワードはスピード、スケール、革新、意識、企業文化、全身全霊