風景を見る犬

樋口有介(著者)

• 販売会社／発売会社: 集英社
• 発売年月日: 2013/08/03
• JAN: 9784797672497

商品レビュー

2024/04/10

他人から気楽に見える
あの人もこの人も、

心の内に葛藤を抱えて
生きてるさあ。

けれど、どうせすべて
は偶然さあ。

一人一人この世に生き
てることもみんな偶然
の産物さあ。

そう、考えても仕方の
ないことは考えない、

冗談で片付けなければ
人生が辛いさあ。

「なんくるないさあ」

2020/06/06

図書館の本　読了

内容（「BOOK」データベースより）
野良犬だから、見えるものがある。青春ミステリーの俊英が、はじめて沖縄を舞台にして書き下ろした「ひと夏の出来事」。

面白いんだけど、樋口有介っぽいんだけど、こうちゃんが大人すぎて、さめすぎてて、いいのかこれで？ってなるところ多数。
全部暑いせいと言われてもなぁ。

2018/12/04

樋口有介せんせの夏、また。
再読…だと思うんだけど、細部を覚えてなかった。
でも沖縄が舞台の作品ってことで微かに記憶が。

樋口有介センセの推理ミステリって、最終盤にドン！ドン！ドーン！！って風に解釈が並べられて「なるほどー」って落とされるパターンが多い気がする。
いや「推理ミステリの種明かしは最終盤にくるだろ」って話も当然なんだけど、要素一つ一つの開陳が、こう…。
それぞれの要素が直列で繋がるのではなくて、事件に向かうなかで並列して取り組まれてるって感じなのかなー（うまく言えない

まあとにかく、推理ミステリとしての技巧はセンセの作品群のなかでも上位に入るんじゃないかなーと。
ラストで各要素がぴたりと符合するのは見事でしたなあ。

それでもって「作品群の中でも上位」なのは主人公の臆病さ加減。
何かあっても「考えておく」で逃げるのはすごい。
目の前のことに向き合ってない感が強いんだよなー。
逃げてるとは違う気がする…のは、逃げる場所が無いからなのかな。
逃げることは無理だってことは悟ってる、諦観。
でも今は勘弁っていう。

それと今作は沖縄という風土が大きく根差してるねえ。
「海泡」でも活かされていた、その土地柄でしか成し得ない物語。
閉じた環境っていえばクローズドサークルだけど、それとは意味合いが少し違うかもだ。
背景というだけでなく、連綿と続いてきた人間関係の妙みたいな。
赤の他人だけが舞台に上がっているわけではないんだよね。

沖縄に関した描写の数々。
知れるところに知れたら、余計なことを言い出されるのではないかと心配になったー（自分には興味深く知識として得たけど）。