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売笑三千年史 ちくま学芸文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2013/07/12 |
JAN | 9784480095541 |
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売笑三千年史
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売笑三千年史
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商品レビュー
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・中山太郎「売笑三千年史」(ちくま学芸文庫)は 文庫本でも700頁近い大著である。著者の中山太郎は「日本盲人史」や「日本巫女史」で有名な(たぶん)民俗学者である。ただし古い。明治9年生まれであ る。新聞記者であつたが、柳田国男の影響を受けて民俗学を志した。後に柳田を離れ、独自の方...
・中山太郎「売笑三千年史」(ちくま学芸文庫)は 文庫本でも700頁近い大著である。著者の中山太郎は「日本盲人史」や「日本巫女史」で有名な(たぶん)民俗学者である。ただし古い。明治9年生まれであ る。新聞記者であつたが、柳田国男の影響を受けて民俗学を志した。後に柳田を離れ、独自の方法論をもつて多くの著作をものした。本書「三千年史」もまたそ の一つなのだが、何しろ私は中山太郎と言へば盲人史か巫女史と思つてゐた人間である。このやうな著作があるのを知らなかつた。売笑は今ではほとんど使はない語であらう。辞書には端的に売春とか売色、売淫とある。さう、昔はどうであつたのであらうか、今ではあまりおほつぴらには使へない語である。要するに、 本書は神代から明治に至るまでの日本の売春と売春婦に関する通史である。事が事であるだけに分からないことも多いやうだが、かなり細かい点まで書いてあ る。ただ、驚いたのは本書の参考文献である。本書刊行は昭和2年(1927)である。古いといへば古い。しかし、今でも生きてゐる、これより古い名著はまだいくつもある。国文学ならば当然であらうが、それらには江戸の国学者からの引用が多く見られる。それはそれで有効だからである。実は本書にも国学者の引用が多く見られる。橘守部(116頁)、高田与清(128頁)等々、他に名前だけの国学者も多い。江戸の国学者には失礼だが、かういふのは引用に耐へうるのだらうかと思つてしまふのである。物語や法令等の事実関係に資する資料ならばともかく、ある物事に対する考察などはどうなのかと思ふ。そこでふとwikiを見ると、やはりこんなことが書いてある。多くの「実績の割に中山太郎の評価が低い理由は、中山の史料批判の弱さであり、その使用方法や方法論に 問題点があると言われる。」柳田も熊楠も中山を批判してをり、中山自身も「ジャーナリストの悪いところだけ受け容れて、間口ばかりで奥行のない人間となってしまひ」と言つてゐるらしい。新聞記者の方法論が基本にあり、それが逆に災ひしてゐるといふ自己批判であらうか。いづれにせよ、本書に於ける引用は多種 多様であるが、基本的には古い。昭和の著作とは思へないやうな引用があつて驚くのである。 ・以上のやうなことがあつても、本書はやはりおもしろいものである。柳田も中山を、たとへお世辞ではあつても、おもしろいと言つてゐる。雑駁な知識かもしれなくとも、それはそれなりにおもしろいのである。神代の時代から鎌倉室町あたり、やはり時代が古い。神代の時代などといふのは記紀神話に頼るしかない。 そんな中でもいくつかの民俗事象から歴史を書いてゐる。ところが江戸に入ると、資料も豊富になつてくる。記述も豊かになり、各章も長くなつてくる。その冒 頭の一文、「春画は徳川氏を亡した。売女はついに江戸幕府を倒してしまった。ただに元禄といわず、文化文政といわず、さらに天保といわず、徳川氏の十五代 を通じて、世は挙げて淫靡にして浮薄、人はほとんど酔世にあらざれば夢死していたのである。」(383頁)これが中山の江戸時代に対する基本認識であら う。こんな時代だからこそ売笑が盛んになり、遊郭が栄えたといふのである。ただ、どの時代でも男色、男娼についてはあまり触れられてゐない。江戸の陰間茶屋などは格好の素材ではないかと思ふのだが、それほど詳しく採り上げてゐない。娼婦に比べて男娼は表に出にくかつたのであらうか。「男色は在ったが男娼は無い」といふのが第二章国初時代最後の節の見出しであつた。それにしても中山太郎が文庫になるとはである。次は盲人史や巫女史の文庫化を期待したい。
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古代から明治の世までの、日本における売笑の歴史を描いた本。底に流れるのは著者独特の思想があり、ややそれに支配されている感もあるが、しかしたくさんの資料を頼りに書かれていて、とても勉強になる。
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