天皇さんの涙 葭の髄から・完 文春文庫

阿川弘之【著】

• 販売会社／発売会社: 文藝春秋
• 発売年月日: 2013/07/10
• JAN: 9784167146115

商品レビュー

2016/01/02

阿川弘之氏は、平成27年8月3日 満94歳で亡くなられました。今まで結構、読書機会があったのに阿川氏の著書は、読んだことが無かった。というより出会う機会がなかったのです。氏が没したことを新聞で知っただけで、軽いノリで諸所をPCで検索してみると、勿論。知っていたタイトルは沢山ありました。
　代表作は、言わずと知れた「山本五十六」だが、タイトルで惹かれたのが、「国を思うて何が悪い」で、次に「大人の見識」そして「天皇さんの涙」である。いずれもエッセーなのです。
まあ、エッセーを読むと、その人の人柄がわかるというもので、人柄が分かれば次は小説でも読んて見ようかという気になります。
今回、この著書で特に感動したのが・・・・
「昭和六十一年四月二十九日、両国国技館で御在位六十年記念式典が行われた時、文春のカメラマンが撮影したしたものだそうで、裕仁天皇の左頬に涙が一と筋流れてゐるのがはっきり分かる。何をお考えになっての涙かは知る由もないけど、御即位から終戦の「御聖断」まで二十年、更にそのあとのマッカーサーご訪問､占領下の全国御巡幸、おつらかったであろう若き日の出来事の数々が晩年の陛下の御胸の中でどんなにかと、さうおもった途端、私の眼からも涙があふれてきた・・・」この後も続きがあるのですが著作の関係で紹介できない、諸氏にはぜひ読んで頂きたい一説である。「葭の髄から」が遺作になりました。「天皇さんの涙」は、文芸春秋の巻頭随筆の中の一文がタイトルとなり書籍化されたものです。

2014/09/09

【気品ある名随筆、いよいよ完結篇】十三年以上に亙り「文藝春秋」の巻頭を飾った名随筆をまとめた第四巻。欧米遊学の話、テレビへの苦言など、行間に漂う気品を味わう。