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世界史の中の資本主義 エネルギー、食料、国家はどうなるか
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 東洋経済新報社 |
発売年月日 | 2013/06/10 |
JAN | 9784492443972 |
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世界史の中の資本主義
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商品レビュー
3.7
4件のお客様レビュー
各分野の識者がエネルギー、食料、国家が今後どうなるかについて、過去の歴史を参考にしながら見通したもの。エネルギーでは、シェール革命後も価格は下がらないだろうというのは、常識的な見通しだが、食糧については、「これから世界は食料の『過剰な時代』へ突入する」というのには驚いた。人口増、...
各分野の識者がエネルギー、食料、国家が今後どうなるかについて、過去の歴史を参考にしながら見通したもの。エネルギーでは、シェール革命後も価格は下がらないだろうというのは、常識的な見通しだが、食糧については、「これから世界は食料の『過剰な時代』へ突入する」というのには驚いた。人口増、化学肥料の高騰、水不足、異常気象など、食料は不足するものだと思い込んでいた自分には、にわかには信じがたい。
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※このレビューにはネタバレを含みます
水野さんは、『資本主義の終焉と歴史の危機』などの著者で、過去の中世ヨーロッパの歴史をひもとき、現代が記録的に利子率の低い時代にあり、もはや利潤を生む辺縁が存在せず、「長い16世紀」に比肩する「長い21世紀」となり低成長な時代になると主張している。本書は、その水野さんの歴史観に沿って、エネルギー問題の専門家として角和氏、食料問題の専門家として川島氏、金融システムの専門家として山下氏が、それぞれ各章を担当してひとつの本として仕上げたものである。構想なく雑に人を集めて作った対談本ではなく、きちんとそれぞれの主張が連関しており、複数人の著作として意図をもってよくまとまった本になっている。というのも著者らは、「長い二十一世紀研究会」のメンバーであり、その研究の成果を取りまとめたものであるからということは言えるだろう。 それぞれの章での洞察は専門家のそれとして耳を傾けるに値するものが多い。 ・為替と購買力平価の関係においては為替の動向の方が先で、それに購買力平価が影響される、 ・どの国も景気の腰折れが怖くて利上げに踏み切れない状態になる、 ・日本の国際・社会保障・銀行預金の危うい関係、 ・原油価格とシェールガス他の生産への影響、 ・世界の食糧生産余力は化学肥料のおかげで需要を上回っている(食料自給率を高める必要はない)、 ・バイオエタノールの件はトウモロコシ生産州が選挙で接戦となるスイングステートであることに関係している、 ・原油価格とトウモロコシ価格の変動は連動している、 などなど多くの例を挙げることができる。 また、2013年6月に刊行された本書ではいくつかの予測が行われている。今は2015年6月で約2年後になるわけだが、結果はどうなっているだろうか。意地悪だが、少し見ていこう。 「現在の円安の流れが続けば、1ドル=90円台が110円程度に達するのもそう遠い時期ではないだろう。しかし実際にはアメリカ政府は、そこまでのドル高は容認しない可能性が高い。財務省高官の発言で一気に相場の方向性が変わる、といった展開になるのではないか」(水野) ⇒ 1ドル124円を超えて円安は進行(外れ)。110円を超えたのは2014年10月辺り。これはきっちり当たっている。 「私は先進国のゼロ金利は、これから10年程度は続くと見ている」(水野) ⇒ 2年でまだ1/5程度の進捗率だが、今のところはその通り。 「おそらく今後、「リーマン・ショック2」というべきバブル崩壊が、現在の新興国の側で発生し、世界経済にリーマン・ショック以上の大きな影響を及ぼすことが予想される」(水野) ⇒ 時期が示されていないので、予測に値しない? 「私は、現在100ドルを付けている国際原油市況がいつなんどき70ドルに下落しても驚かない」(山下) ⇒ 2014年11月には70ドルを割り、最安値では50ドルも割った。正解? 「私はトウモロコシについては、たとえアメリカのバイオエタノール増産計画が継続されたとしても、二、三年後には供給が増して価格は下がり、現在より低い価格で安定するのではないかとみている」(川島) ⇒ 当時1トン300円超だったものが、1トン170円程度に下落。正解? 統計情報を扱った本『シグナル&ノイズ』では、専門家の予測はあてにならんということであったが、どうであろうか。結構当たっていると言ってもいいかもしれない。 勉強になる、という感じの本。 『資本主義の終焉と歴史の危機』のレビュー http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4087207323 『シグナル&ノイズ』のレビュー http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4822249808
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中世16世紀と今の状況の類似性から、資本主義の終着点にたどり着いているのではないかという論説。今回はエネルギーや食料の価格の動向において、もはや実需によってではなく、投資目的での価格変動が起こっており、利子率を稼げる、要はリターンが得られる要素を探し求めている状況を解説。それによ...
中世16世紀と今の状況の類似性から、資本主義の終着点にたどり着いているのではないかという論説。今回はエネルギーや食料の価格の動向において、もはや実需によってではなく、投資目的での価格変動が起こっており、利子率を稼げる、要はリターンが得られる要素を探し求めている状況を解説。それにより、フロンティアを求める資本主義は、フロンティア探しが行き着くところまで行き着いて袋小路に入りつつある、というのを示している。 リターンを得られるか?という観点だけで世界を眺めたら、いずれ行き着くところは「もう稼ぐ余地はありません」という状況だというのは実感として思う所があるので、本書の主張には共感する部分がとても多い。 じゃあ次の資本主義に代わる位置づけとしての世界観がどうなるのか、それについては本書では明快な解の様なものは出てこないように思えた。あくまで現状分析の深い一冊だと思う。
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