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ナショナリズムの復権 ちくま新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2013/06/07 |
JAN | 9784480067227 |
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ナショナリズムの復権
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商品レビュー
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現代の思想家の中で頭一つも二つも抜けていると思っている先崎彰容氏のナショナリズム論。 江戸時代〜現代に至る日本の思想史論でもあり、氏がとにかく頭脳明晰の天才だと言うことがよく分かる著書。 その知識と熱量が、新書と言うフォーマットに収まりきっていない。 江藤淳も丸山眞男も未読なので...
現代の思想家の中で頭一つも二つも抜けていると思っている先崎彰容氏のナショナリズム論。 江戸時代〜現代に至る日本の思想史論でもあり、氏がとにかく頭脳明晰の天才だと言うことがよく分かる著書。 その知識と熱量が、新書と言うフォーマットに収まりきっていない。 江藤淳も丸山眞男も未読なので、日本思想史もより深く学んでいきたい。 当時先崎氏は福島の大学に勤務されており、本書の執筆時は東日本大震災直後の仮設住宅という特別に極限の状況だったようだ。 さらに出版からも既に月日が経過しており、今この本に感想を書くのは適切ではないかもしれないが、読書メモとして下記を。 冒頭に、ナショナリズム=全体主義と誤解されている、との記述があり、後半章の中でも繰り返し述べられる。 しかし今の自分にはどちらかと言うと、ナショナリズムは、世界的な全体主義と標準化であるグローバリズムに対する、一国の伝統や国益の保持、というイメージが強い。 つまり、ナショナリズムは世界の多様性への道であると感じている。 また、全体主義=絶対悪という暗黙の前提も、そもそも自分にあまり馴染まない。 吉本隆明で言うと、「共同幻想に飼いならされた個人」というところに大きな共感を覚えたのは、先崎氏の解説の力だった。 だからこそ、わかりやすい過去の(既に失敗した)全体主義への批判が、かえって飼いならされっぱなしの現代日本を覆い隠すカモフラージュのように聞こえてしまうことがある。 抑圧的な全体主義は、抑圧の対象となる自由の存在が前提である。 もはや抑圧すべき自由すら見当たらなくなって初めて国家は悠々と自由主義を標榜できる。 秩序の反対は、無秩序ではなく虚無だ。 自分の捉え方とは少し違うところも感じたが、とにかく素晴らしい一冊だった。
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最初の方は理解しやすかったけれど、途中から難しくてついていけなくなった。 とはいえ、ナショナリズムに対する誤解があること自体は理解できた。 ナショナリズムは、全体主義や擬似宗教、民主主義のいずれともイコールではないこと。 著者の言うとおりにまさに「誤解」していた私にとっては、勉強...
最初の方は理解しやすかったけれど、途中から難しくてついていけなくなった。 とはいえ、ナショナリズムに対する誤解があること自体は理解できた。 ナショナリズムは、全体主義や擬似宗教、民主主義のいずれともイコールではないこと。 著者の言うとおりにまさに「誤解」していた私にとっては、勉強になった。資本主義は変化や移動、破壊や拡散が前提となっており、安定した世界とは程遠い。 拡大は帝国主義であり、収縮は独裁や擬似宗教。いずれにしても安定していない世界であり、価値観が変化し続けているから、物事の判断軸がぶれて自分自身が不安定になっている人が増えているのかもしれない。 だからこそ、反対に確固たる自分の軸を持つ必要があるのだが、確固たる自分軸も実は社会に形成されるものであるため、結局私たちの不安感や不安定さはなくならない。そういう時代だから、著者はナショナリズムの重要性をあらためて提唱しているのだろう。
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この本から感じるのは、何よりも「思考の熱量の高さ」。新書という紙幅の制限の中に、葦津珍彦、ハンナ・アーレント、江藤淳、オルテガ・イ・ガゼットなどの思想を援用、敷衍しつつ、健全なナショナリズムの復権を説く。 個人的には、海外の左翼と日本の左翼との大きな差は、夫々の属する国への思慕...
この本から感じるのは、何よりも「思考の熱量の高さ」。新書という紙幅の制限の中に、葦津珍彦、ハンナ・アーレント、江藤淳、オルテガ・イ・ガゼットなどの思想を援用、敷衍しつつ、健全なナショナリズムの復権を説く。 個人的には、海外の左翼と日本の左翼との大きな差は、夫々の属する国への思慕の軽重にあるように思っていた。どうも日本の左翼には、「自分の国」を何とかしようという意識が薄すぎるのだ。 非常に多くの要素が熱く語られており、少々とっ散らかった印象を持ちつつも、最後半部に、高坂正堯の有名な「国家を形成する三つの要素」の話があり、何とかまとまった感がある。以下引用。 『国家には三つの要素がある。「力の体系」「利益の体系」「価値の体系」この三つがからまりあって国家は出来上がっている。そして戦後の日本は経済成長=利益の体系だけを国家目標とし、一方で力の体系はアメリカの軍事協力にゆだねてきたのだった。そして、価値の体系を置き去りにしてきたのである。(p.220)』 未整理感はあれど、現状への率直な苛立ちが熱く表明されているところは、率直に評価したい一冊だ。
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