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危機の二十年(訳:井上茂) 1919-1939 岩波文庫
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危機の二十年(訳:井上茂) 1919-1939 岩波文庫

E.H.カー(著者), 井上茂(訳者)

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危機の二十年(訳:井上茂) 1919-1939 岩波文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 1996/01/16
JAN 9784003402214

危機の二十年(訳:井上茂)

¥990

商品レビュー

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2024/03/16

本書は、第一次大戦後から第二次大戦前の20年間の戦間期を分析することで、国際関係の過去をたどり未来を見通すという試みである。 初版は1939年であるが、この翻訳は、1945年に若干の修正を経て出版された第二版のものである。 第一章〜第十四章という構成で、大枠の内容は、 ・国際政治...

本書は、第一次大戦後から第二次大戦前の20年間の戦間期を分析することで、国際関係の過去をたどり未来を見通すという試みである。 初版は1939年であるが、この翻訳は、1945年に若干の修正を経て出版された第二版のものである。 第一章〜第十四章という構成で、大枠の内容は、 ・国際政治(Ⅰ〜Ⅵ) ・力と道義(Ⅶ〜Ⅸ) ・法と条約(Ⅹ〜ⅩⅢ) 上記に加えて、第十四章の結論という構成だ。 端的に言うと本書におけるカーの主張は、イギリスという大国の出身でありながら、 「大国と小国」「満足国と不満足国」「支配国と被支配国」という対比の中で、20世紀以降においては、譲り合いや自己犠牲という道義に基づいて国際政治が執り行われる必要がある、と言うことである。 何故ならば、19世紀までは経済や領土の純粋な拡大余地がその対立を吸収したが、もはや飽和状態の国際関係において、誰かの発展は誰かの犠牲を伴うことが明確になったためである。 カーの立場は、現代日本において語られる近代史観や国際政治、安全保障に関する常識とは異なるか、ほぼ真逆の視点である。 繰り返し対比される「現実主義(リアリスト)と理想主義(ユートピアン)」「不満足国と満足国」という対比のうち、日本では片方しか語られない事が多い。 現代の国際安全保障学においては、「現実主義」に対比されるのは「自由主義」である。 自由主義陣営においてこの対比は、「自由主義と独裁主義」と言う言い回しが定番だ。 しかしながら、独裁主義は学問的な定義ではなく、ただの悪口である。 この点で、自由主義以外は悪、という前提に基づいた世界観とは異なる視点を打ち出した本書は、現代においてその価値を発揮している。 個人的には、よく読む大陸ヨーロッパの歴史観や思想でなく、イギリスやアングロサクソン側の視点で読んでみたい、という動機で本書を手に取った。 しかしあとがきにある通り、カーがイギリス人でありながらロシア革命やマルクスに影響を受けた人物であるというのは、全く予想外のことであった。 ラインホールド・ニーバーやバクーニンなど、馴染みの名前が登場し、安心のクオリティではあるものの、当初の期待に反して新しい発見は少なかった。 しかし、イギリスにおいて思想的に孤独であったカーの、逆風に抗いつつ書いて伝えたいという熱量は十分感じられ、長年読まれ続ける名著であることは異論がない。 カーの他の著書も是非読んでみたい。 日本語訳に関しては、カー自身の引用の誤りをいくつも指摘するなど、単純な訳にとどまらず引用原典に積極的に触れており、そのクオリティに感嘆させられた。 訳者以外にも複数で検討された内容と言うことで、大著の質とカーの情熱に応えて余りある訳であると感じた。

Posted by ブクログ

2023/04/30

E.H.カーの「歴史とは何か」を読んで感銘を受け本書も手に取りました。全くの門外漢ですので、カー氏はてっきり歴史学者かと思っていたのですが、本書を読んで、カーが最初は外務省に勤務し、その後ジャーナリズムの分野に入りながら学者に転身し、歴史、国際政治分野の研究をしていたことを知りま...

E.H.カーの「歴史とは何か」を読んで感銘を受け本書も手に取りました。全くの門外漢ですので、カー氏はてっきり歴史学者かと思っていたのですが、本書を読んで、カーが最初は外務省に勤務し、その後ジャーナリズムの分野に入りながら学者に転身し、歴史、国際政治分野の研究をしていたことを知りました。本書は1919年の第一次世界大戦終戦から第二次世界大戦開始の1939年までの二十年間における国際政治をその分析の対象にしています。国際政治学という分野自体、当時は黎明期にあったということで、「あるべき論」つまりカーの言葉を借りればユートピアニズムが横行していたわけです。これは国際政治学に限らず、経済学などそのほかの学問分野も同様で、その黎明期は「あるべき論」が先行し、理想と現実に乖離がある場合に、「現実が間違っている」という支離滅裂な思考に陥るわけです。 さらにカーは同書の中で、当時の国際政治のあるべき論は、強者(第一次世界大戦の勝利国)の利益を守るという偽善にベールをかけるためのものだったという指摘をしており、リアリズムによってその偽善を暴くべきだとしています。本書の面白いところは議論がここで終わるのではなく(つまりユートピアニズムの偽善をリアリズムで暴け、という主張で終わるのではなく)、いや100%リアリズムに陥ることも100%ユートピアニズムに陥るのと同様危険なのだ、と論を進め、「政治は権力と道義が出会う場所である」という風に論じていくわけです。個人的にはこのバランス感というか両方を見る姿勢には非常に共感を持ちました。本書は国際政治学だけでなく、あらゆる分野で「彼/彼女の主張はどちら寄りか?」を考える上での重要な指針を与えてくれると思います。とても勉強になりました。

Posted by ブクログ

2022/02/14

岡義武の『国際政治史』と合わせて読むといい。"国際政治"といわれるものは第一次世界大戦後に始まるということがよくわかる。理想を追うことも現状を見ることも双方重要で、またどちらかだけではいけない。両方を視野に入れながらバランスを取った見方をすることの重要性。あい...

岡義武の『国際政治史』と合わせて読むといい。"国際政治"といわれるものは第一次世界大戦後に始まるということがよくわかる。理想を追うことも現状を見ることも双方重要で、またどちらかだけではいけない。両方を視野に入れながらバランスを取った見方をすることの重要性。あいまいだったり日和っているように見えたりするかもしれないが、極端なことを言う人は信用してはいけない。こういう”古典”は、今のようなご時世ではなおさら有用だと思う。

Posted by ブクログ

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