猫と生きる。

猫沢エミ【著】

• 販売会社／発売会社: 辰巳出版
• 発売年月日: 2013/05/11
• JAN: 9784777811625

商品レビュー

2022/04/12

愛猫が15歳を超え、そろそろを考えたくないけど、そろそろが来てしまう不安を抱えています。この本は、ピキちゃんと過ごし成長した姿を、素直に表現されていると思います。猫と人間、ベストパートナーだったんだなと。そして新しい子たちへの関係性も、ピキちゃんが残したものを繋いでいくんだなと思います。愛猫と向き合う残された時間を大切にしていきたいと思いました

2020/04/21

著者の猫沢エミさんご本人から直接お会いした際に購入&サイン頂いた本。
2013年9月7日の日付と猫沢さんの名前と自分の名前が入ってるので、もう随分前なんだなぁと
途中まで読んでてそのままになってるのを思い出し一から読み直した。
大号泣。久々こんなに本で泣いた。
なんで途中で読むのをやめたんだ！と当時の自分を殴りたい。
飼っていた猫(ピキ)との数奇な運命、日本とフランスとの生活
そして永遠の別れ。涙なしじゃ読めなかった
すごく愛された猫だなと思うし
ペットって無償を愛をくれる自分の家族だと改めて思う。
お国によって全然考え方や価値観も違う中で
東京のゴミ捨て場に捨てられた、国籍フランス猫って不思議でたまらん
運命とは本当に不思議なもんだ。
会うべくして会ったのだな、と。

2019/03/03

　ピキを育てながら日本とフランスの動物病院に数件通ったが、獣医という職業は病気を治すだけでなく、連れてくる飼い主の心のケアも含めて、高い人間力を必要とする仕事だ。高価な医療機器をそろえた最新鋭の“箱”を持っているだけでは、足りない。やはり、その箱の中に入れる、目に見えない部分が要となるように思う。（p.145）

　彼らの存在は、人間の子供に限りなく近いかもしれないが、それでもやはり別のもので、人間社会の疎ましさから離れた安らぎをくれる、代替の利かない存在なのだ。言葉を介さない愛を一心に傾けてくれる彼らを亡くすことは、他のどの苦しみにも例えようがない特別の痛みがあるのだと私は思う。小さな身体は、一緒に暮らした人間の愛で満たされている。（p.177）

自分の人生置き換えて考えてみればすぐわかるように、完璧な猫の人生もまた、どこにもないと気がつくのだ。ピキのできうる限り自由な生活を守ってやれたのは他でもない私で、彼女の人生は豊潤なものだったと思える時間が、絶望の波の合間に少しずつ増えてきた。ピキのパリ生活をよく知る、フランス人の友達からのフランス語による慰めの言葉も、私の心に深く響いた。「Savicaetebelle―サ・ヴィ・ア・エテ・ベル／彼女の人生は美しいものだった」彼らは何度もそう、私に言ってくれた。（p.179）