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存在の大いなる連鎖 ちくま学芸文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2013/05/10 |
JAN | 9784480095367 |
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存在の大いなる連鎖
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存在の大いなる連鎖
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プラトンが唱えた「充満の原理」とアリストテレスの「連続の原理」「存在論的梯子」から生まれでて、古代から近代まで西洋における宇宙観の基礎となった「存在の大いなる連鎖 Great chain of being」。哲学、神学、天文学、文学、芸術、自然科学のあらゆる分野の記述から普遍的な...
プラトンが唱えた「充満の原理」とアリストテレスの「連続の原理」「存在論的梯子」から生まれでて、古代から近代まで西洋における宇宙観の基礎となった「存在の大いなる連鎖 Great chain of being」。哲学、神学、天文学、文学、芸術、自然科学のあらゆる分野の記述から普遍的な観念を拾いあげ、「自分の住む宇宙を自分の知性に合理的に見えるようにしようとする西洋人の長い努力の歴史」を紐解いて観念史 History of Ideasを打ち立てた一冊。 構えてたより全然読みやすい本だった!ホッケより先に読めばよかった。 ラヴジョイが本書を発表したのは30年代だけど、その後の宇宙開発事業とか環境保護活動とか、生物多様性とか遺伝子工学とか、そういう思想の根っこにある「西洋における〈善〉の在り方」を考えるとき、「存在の大いなる連鎖」はとても重要なキーワードなのだとわかる。過去には人種間の不平等を肯定するのに存在論的梯子の理論を利用していた(「平等は自然に反する」)時代もあったのだ。 ラヴジョイはプラトンがイデアという概念を作りだした際に西洋の神は相矛盾する二つの性質に引き裂かれ、長く不毛な闘いが始まったとする。完全なイデア界が存在するなら、その不完全な写しであるこの世界は何のために存在するのか。神が完全で自己充足しているなら、なぜこのように不完全な世界を必要とするのかという二つの問いだ。 そこでプラトンが持ちだした世界モデルは「充満の原理」だった。神は全能の力をもって創造可能なもので世界を満たした。それが神の本性だからである。全ての創造物は静止した宇宙のなかであるべきポジションを満たす構成員である。ここにアリストテレスが「連続の原理」を持ち込み、それぞれの種は無秩序に創造されたのではなく、無から神への階梯を上昇していくように設計されているのだという観念を生みだした。これが「存在の大いなる連鎖」だ。 大いなる連鎖の概念は同心円状に表され、人間中心主義的なイメージが強いが、ラヴジョイによると中世キリスト教社会ではそうではなかった。彼らは確かに地球を宇宙の中心に据えていたが、真の中心には地獄があった。人びとは「我らのすむ地球は天上から最も遠ざけられている」と考えていたので、天文学の宇宙観が天動説から地動説へと転換しても人類が連鎖の頂上から失墜したと言って嘆くことはなかった。地動説で重要なのは宇宙に中心と呼べる場所がなくなったということだった。同心円状の宇宙観は太陽系のイメージにすりかえられ、神は存在の連鎖に空白を作らないので、人間を超える知的生命体は必ず他の惑星に存在しているはずだと考えた。 啓蒙主義の時代に入ってキリスト教的世界観が崩れると、人間は存在の連鎖の「中間の環」であり、動物的な肉の欲望と霊的な知性に引き裂かれる「知性の転換点」だとされた。そこで人間は種としての分をわきまえるべきなのかどうかいう議論が交わされるなかで、現状に不満を持ち「所有できない完全さ、達成不可能な美徳のヴィジョンを持つ運命」こそは人間の役割なのだと解釈されていく。 つまり、現状を克服し、神に近づこうとする人類の努力が肯定され、連鎖は不動ではなく上昇を目指すべきものに変わった。〈人類という種に対する自己肯定感〉とも言えるようなこの考え方が、やがてロマン派として文学や芸術の分野で爆発的に広がっていく。神のまねびを人間の本分とするロマン派から『フランケンシュタイン』が生まれてくるのは、「連鎖」の観念史上、一つの到達点だったのだ。 表紙にはロバート・フラッドのミクロコスモスとマクロコスモスの図が使われているが、本書は魔術・錬金術的な記述からの引用は慎重に避けている。「存在の大いなる連鎖」という観念が西洋思想の異端ではなく、ずっと主流にあったことを示すためだろう。その代わりライプニッツ、スピノザ、シラー、シェリングらの思想から「大いなる連鎖」が洗いだされ、その矛盾や逡巡の道程が丁寧になぞられている。 進化論と相対性理論を経て、「存在する」ということが「合理性がある」とイコールの意味を持っていた決定論的な信仰の世界から、人類は「宇宙は巨大な偶然事」の世界に放りだされた。今はまた物理学的な観点からの決定論も話題に挙がるらしいけれど、だとすれば宇宙はふたたび偶然事の「大いなる連鎖」として語られ直すことになるのだろうか。
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約500頁を通読するのはかなりの集中力を要した。力不足で註までは手が回らなかった。若いころ集中的にジェイムスを読んだときの感覚を思い出した。時代的なものだろう。 存在の大いなる連鎖という観念の歴史だが,それがホワイトヘッドの言うプラトンの脚注の歴史である。あの世的性質とこの世的性...
約500頁を通読するのはかなりの集中力を要した。力不足で註までは手が回らなかった。若いころ集中的にジェイムスを読んだときの感覚を思い出した。時代的なものだろう。 存在の大いなる連鎖という観念の歴史だが,それがホワイトヘッドの言うプラトンの脚注の歴史である。あの世的性質とこの世的性質の分裂。矛盾を含む表現を許容できない西洋哲学の限界内での綱引き。陰陽とか色即是空とか言って済ませることができない人びとの苦闘が言語論的転回を迎えたのも宜なるかな。 歴史は繰り返すのであり,画一性と多様性の波もまた。現代は多様性の時代だが,そろそろその反動も来るのではなかろうか。ある意味では,ウィルバーはその第一波だったのかもしれない。 恥ずかしながらちゃんと読んだのは初めてで,昔の自分を叱りたくなる。
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プラトンに端を発する西洋哲学史上の重要な概念「存在の大いなる連鎖」をめぐる論述。つまり神・天使・人間・宇宙・動物といった存在が、秩序をもち階層をなして並んでいるという世界観が綿々と受け継がれてきたということだ。 この本の文章は読みにくい。入れ子構造になった複文節の長いセンテンスは...
プラトンに端を発する西洋哲学史上の重要な概念「存在の大いなる連鎖」をめぐる論述。つまり神・天使・人間・宇宙・動物といった存在が、秩序をもち階層をなして並んでいるという世界観が綿々と受け継がれてきたということだ。 この本の文章は読みにくい。入れ子構造になった複文節の長いセンテンスは、日本語の場合は、最後の最後に至るまで「である」なのか「ではない」なのか判断できないため、そこまでは保留状態で読み進めなければならない。最後が「ではない」であることを知り、慌てて文のはじめに立ち戻らなければならないこともある。 このような日本語の特色は、こういったセンテンスの長い理論的文章には向いていないのである。 そのような文体であるため、この本は読むのに苦労した。 真ん中へんでライプニッツについて詳しく記述されており、それは参考になった。
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