中小企業のための融資判断の手引き

百武健一【著】

• 販売会社／発売会社: きんざい
• 発売年月日: 2013/04/12
• JAN: 9784322121810

商品レビュー

2013/04/18

著者は昭和46年に信用金庫に入庫し、営業店の融資係を4ヶ店、15年間経験した後、審査部で10年間、管理部で5年間在籍し融資一筋に歩んできた。勤務先の合併、破綻を経験し、現在、勤務している信用金庫では審査部課長、次長、部長と現在に至っている。

上記の通り融資審査のプロフェッショナルである著者。
融資経験のノウハウ・エッセンスがギュギュと濃縮された密度の濃い271ページのバイブル的読み物。

「融資に携わる者は、仕事を単なる事務作業としてとらえるのではなく、個々の現場で生きた知識や経験を積んで、取引先のホームドクターとして業況の悪化を早期に発見し、改善に取り組むための、知識や交渉力を身につけることが重要である」と説いている。

本書は7章立てで構成されている。
①融資申込と審査
②融資申込内容の検討
③企業の見方
④資金使途分析
⑤資金使途別申請書の作成
⑥融資の事後管理
⑦事業再生

融資に携わる者として大切な者は何かと問われれば、数年前までは新規融資を伸ばし、お客様のため、地域のため、金庫の収益向上のためと新規融資ありきの考えであった。

しかし、今ではもちろん新規融資は地域貢献に大きな役割を与えることは確かであるものの、既存の貸出金の良化＝経営に行き詰った企業の再生という業務も非常に大切であるという認識が強くなった。

新規貸出でボリュームを伸ばすことと並行して、コンサルティング機能を活かし、お客様である地域企業の経営の改善の手助けを行うことにより自分たちの資産も良化させることが出来る。

本書はその観点からも新規融資をするという視点よりも事業再生等の項目に注目して読むことができた。

経験年数、立場や部署によって注目する項目も変わり理解の深度も大きく変わるものの、手元に置いて業務中及びそれ以外でも読み返し参考にしたいと思う。

幅広い層におすすめしたい一冊。