チェルノブイリの長い影 現場のデータが語るチェルノブイリ原発事故の健康影響 サス研ブックス

オリハ・ワシリヴナホリッシナ【著】, 西谷内博美, 吉川成美【訳】

• 販売会社／発売会社: 新泉社
• 発売年月日: 2013/03/30
• JAN: 9784787712202

商品レビュー

2016/01/20

チェルノブイリで起こった核発電所事故による健康被害を地道に研究して統計や資料を調べいま起こっているウクライナ、ベラルーシ、ロシアの健康被害について警鐘を鳴らしている一冊。
チェルノブイリ核発電所事故についてはIAEAなどの原子力推進を基本目標としている組織の結論では非常に楽観的な報告書が出されたが、実際の統計などの数値でそれが間違いであることをこの本は訴えている。
また、こういった研究調査はおたがいの思想にバイアスのかかっていない状態で、意見交換や研究討議を相互にすることを提唱している。
この一冊を読んで、その統計や資料から被ばくに弱い子どもたちに非常に危機感を感じた。
そういう地区にいる子どもたちに散見する傾向は以下のようなもので、福島の子どもたちについても同様な検査とそれに対する医療や政府自治体などのバックアップが大切だと感じる。
本書によると、被ばくした子どもたちや被ばくした妊婦から生まれた子どもたちに以下のような傾向があると書かれている。
・骨折しやすい
・虫歯が多い、永久歯が早く生えてくる
・風邪にかかりやすい、病気になりやすい
・発育不全
・内分泌系の疾患
・自律神経障害
・低年齢の子の心筋梗塞増加
・甲状腺ガン
・注意力の障害や記憶固定能力の低下
いわゆる
心臓疾患病、肺がん、白血病、内分泌疾患、造血器官の疾患、免疫疾患、先天性疾患・障害など
色々な条件下でその比率は違っているが、この地区の統計でみると低線量被爆の地域に住む子どもなどにもその影響が出ている数値統計がでている。
チェルノブイリのこの事故は過去のものではなく、まだまだ続いているもので、終わったものではない。
そして、福島はこの統計結果などを真摯に受け取り、福島のこどもや妊婦に適切な対応をして行かなくては、今後こういった統計結果が日本でも生まれ始めているのではないかと思う。
安全だ問題ないではなく、危険や可能性があるならまず恐れること防御する方向から原発事故地域の子どもたちや妊婦などに対して国や自治体、医療組織は向きあっていくべきではないだろうか。