続・やさしい発達障害論 Psycho Critique20

高岡健【著】

• 販売会社／発売会社: 批評社
• 発売年月日: 2013/02/23
• JAN: 9784826505734

商品レビュー

2013/10/11

2012年、殺人罪で起訴されたアスペルガー症候群の男性への判決は、何とも言えないわだかまりを感じさせるものだった。
本書は幾つかの発達障害と裁判の例を挙げて解釈を示していて、とても納得できた。

後半の歴史的、社会的に発達障害とは「何であるか」が、非常にバランスのとれた、実態に即したものであると思う。
発達の多様性を認める考え方が、もっと広がりますように。

2013/08/14

以前読んだ『やさしい発達障害論』（http://booklog.jp/users/junjinnyan/archives/1/4826504756）の続編。
いろいろ本を読んでもよく分からないな～と思っていた発達障害の本質が、分かったような気がします。
（189ページ）「自閉症スペクトラムを有する人たちの診療に携わっていると、（中略）その基礎にある特質は果たして障害なのか。むしろ、定型発達者とされる私（たち）の特質のほうが、障害と呼ばれるにふさわしいのではないか。そういう疑念が、繰り返し浮かんでくるのです。」
（209ページ）「 定型発達者が健常で、非定型発達者が障害とされる絶対的根拠はありません。多様性発達の概念は、自閉症スペクトラムを傷害や疾病としてとらえるのではなく、定型発達者との共存を目指す方向へと進みました」
このあたりで、私が引っかかっていた部分がすごく納得できました。
肯定的な言い回しで自閉症スペクトラムを定義してみるという試みや、定型発達者が作った「ＤＳＭ」の診断基準をもじった「ＤＳＮ」（定型発達者を障害者と見なしたパロディ）などの話も、とても面白い。

この本を読むと、某書（http://booklog.jp/users/junjinnyan/archives/1/4883205541）などで書かれている発達障害への批判が、いかに的外れかが分かる…。