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天狗のいけにえ 竹書房ラブロマン文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 竹書房 |
発売年月日 | 2013/02/18 |
JAN | 9784812493366 |
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天狗のいけにえ
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商品レビュー
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1件のお客様レビュー
ムラ社会の伝承・風習を用いた退廃的な妖艶さ
都会で挫折しかけた30歳の主人公が旅に出てイイ思いをしつつ最後は新たな思いを胸に再出発する話……ではない。そのような後味のよろしい物語でタイトルに『天狗』はまだしも『いけにえ』などという言葉を用いるとは考えにくいことからある程度は察しもつくところだが、地方の天狗伝承を影絵で表現す...
都会で挫折しかけた30歳の主人公が旅に出てイイ思いをしつつ最後は新たな思いを胸に再出発する話……ではない。そのような後味のよろしい物語でタイトルに『天狗』はまだしも『いけにえ』などという言葉を用いるとは考えにくいことからある程度は察しもつくところだが、地方の天狗伝承を影絵で表現する一座に巻き込まれ、翻弄されていく主人公は、一時的な体現者でありながら、同時に傍観者でもある。ムラ社会の風習に抗うも抗し切れなかった姿には、まるでアウェーの中で値千金のゴールをあげるも結局は勝利できなかったかのような苦渋とある種の諦観が漂う。小さな小さな社会で営まれる退廃的かつ淫靡な裏の顔が燻り出されている作品である。 傍観者故に一座の「夜の公演」を覗き見るところから本作の官能は始まる。60歳らしい老練さと、らしくない体力を併せ持つ座長が、実は本作の官能的な主人公であり、物語の主人公よりも出番が多い。これに一座の裏方を一手に担う42歳の妻や、怜悧な印象を持つスタイル抜群な31歳の演者、そして可愛らしさを残す20歳の生娘縁者が加わる、一種の密室的ヒロイン構成である。このため、主人公も加えた、くんずほぐれつの官能場面には常に秘め事チックな淫靡さが漂い、男女の入れ替わりが幾度か見られるところには何とも言えない寝取り・寝取られ的嫉妬心が渦巻いている。お口奉仕や後輩位が多いものの、ヒロイン達が背中を反らし、顎をあげる艶かしい描写は、ここ最近の霧原作品ではよく見られる傾向。実にいやらしく描かれている。 物語としてのクライマックと言える「儀式」の後、紆余曲折を経てから結末までの間には多少の取り急ぎ感というか、紙面が尽きた感じがしないでもないが、ヒロイン達の「愛の行方とその形」が本作のもう1つの鍵になっているために致し方ないとも言え、その幕引きに至って描かれたのは、心優しき敗北者な主人公である。
DSK