ニュータウンは黄昏れて

垣谷美雨【著】

• 販売会社／発売会社: 新潮社
• 発売年月日: 2013/01/21
• JAN: 9784103333715

商品レビュー

2024/07/03

「家」場所、立地、分譲、賃貸、戸建、マンション、建て替え、リフォーム…お金のこと。老後。老朽化。恋愛、友情、家族と。
人も家もマンションも、手を加えないと経年劣化していく。それは人間関係も。メンテナンスや努力が必要やな。

2023/07/03

かつて住んでいた団地の事を思い出し、人ごととは思えないようなリアル感を覚えた。

垣谷さんは、この小説でも「修繕か建て替えか」のようにな、誰も細かく語らないが必ず日本のどこかで起こっている事の実態をあぶり出しており、その視点の鋭さに敬服する。

同時進行する金持ち男との結婚話でも、誰も被害者にならずよかった。(実際に結婚した朋美は彼を利用しているから被害者ではないだろう。)
自分を偽って相手の気に入る自分を演じる辛さやその愚かさが、そうする必要のない友人が登場する事でとても伝わった。友情にヒビが入ってしまったのは残念だが、致し方なし。

皆が自分らしく逞しく生きていく結末は垣谷さんならでは。本作品もスッキリとした気分で読了した。

2021/06/27

現実とホラーの狭間、みたいな話だった。

ニュータウンで駅からも遠い団地が5000万台だとか、バブル期の不動産価格はクレイジーだったんだなぁ。
古い分譲団地が抱える問題を、この本はほぼ網羅してそうだ。それくらい、問題山積み。
団地だろうがマンションだろうが、いずれ古くなるわけで、集合住宅を買うことについて恐ろしくなった。

娘の男性問題もホラーじみていたな。
黛はプライド高いナルシストとのことだったけど、同じ手口で女からたらい回しにされて、プライドは傷つかないんだろうか…。
3人のうち誰の選択が正解か、私には分からないけど、私には黛と結婚する選択は出来ないなぁ。そこまでして欲しいものってのもないし。
新たな被害者を出さないって意味では、黛と結婚したなら、欲しいもの（ロンドンの高級住宅）を金に糸目つけず買ってもらうくらいのボーナスがあっても良いよね〜！とは思った。

登場人物の中では、琴里のおばあちゃんが良かったな。
殺伐としたお話の中で、おばあちゃんが台所でご飯と味噌汁作ってる姿を想像するだけでホッとした。
誰に対しても、「それはやめた方がいい」「そのお金は返しなさい」とハッキリ意見を言ってくれるのも安心した。
山積する問題に対して「おばあちゃん、全部解決してくれー」と思ったよ。