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海から見た歴史 東アジア海域に漕ぎだす1
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京大学出版会 |
発売年月日 | 2013/01/18 |
JAN | 9784130251419 |
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海から見た歴史
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商品レビュー
4
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※このレビューにはネタバレを含みます
大陸でのシルクロードによる交易を通じ、人種や文化の交流が盛んに行われていたが、ユーラシア大陸東縁、東アジアでも海を通じて盛んに交易が行われていた様子がよく分かる。 日本では江戸時代の鎖国により他国との交易が最小限にされていたが、「四つの口」(長崎口、薩摩口、対馬口、松前口)を通じて中国(明朝、清朝)や朝鮮、琉球などと交易が行われていたという。 中国では華人海商がジャンク船を駆って東シナ海及び南シナ海を盛んに往来していたという。また、広東や福建からベトナムのメコンデルタやボルネオ島など南シナ海の未開拓地を求め多くの華人が移住したという。現在中国政府が南沙諸島の領有権を主張しているのはこれを根拠にしているのだろうか。 本書では西欧列強、ポルトガルやオランダの東アジアでの交易を通じてインドやヨーロッパと流通していた18世紀までが描かれている。そして19世紀には欧米列強による植民地化、帝国主義の嵐が吹き荒れることになる。
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歴史というと、領土という境界から国家を投影したものが多い中、海からそれを眺めるという視点が面白い1冊。地面にしがみついていてはわからない近隣諸国とのつながりが立体的に理解できるように思う。
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読後の感想として、これだけの圧倒的なスケールで書かれた本は滅多にお目にかかれない、というものでした。編者のあとがきに「私たちは、人文学・社会科学の分野ではあまり例を見ない共同研究の方法を実験的に採用してみた。・・・一人の研究者による個別研究では到達できないようなレベルと広がりを持...
読後の感想として、これだけの圧倒的なスケールで書かれた本は滅多にお目にかかれない、というものでした。編者のあとがきに「私たちは、人文学・社会科学の分野ではあまり例を見ない共同研究の方法を実験的に採用してみた。・・・一人の研究者による個別研究では到達できないようなレベルと広がりを持つスケールの大きな共同研究の成果を提示できたのではないかと思う。」(286頁)と書いてますが、本書は全6巻のシリーズのうちの1つなので、このレベルの本があと5冊も出るのかと思うと、これは日本歴史学会にとってすごいことだなと、歴史で飯を食っている端くれとして驚嘆します。 本書の取り扱う主要な“海域”は「東シナ海と黄海を中心に、北は日本海・オホーツク海、南は南シナ海へと南北に連なるユーラシア大陸東辺の海」(10頁)であり、また“海域”とは「「国」単位で区分して理解することが不可能な一体としての海の世界」(7頁)と定義しています。この“海域”という言葉は、近年では桃木至郎編『海域アジア史研究入門』(岩波書店 2008年)や東京書籍の世界史B教科書『世界史B』で「海域世界の発展」とわざわざ1章を設けるなど、とくに国民国家が世界のスタンダードとなる以前の世界史を見るうえで重要な視点となっています(山川出版社の『詳説世界史』では“交易圏”という言葉が使われている)。 本書ではこの地域を「この海域の歴史的特質が浮かびあがる」ように3つの「100年」を選びだして、それぞれの特徴や多様性を具体的に描き出しています。3つの「100年」とは 第Ⅰ部 1250年~1350年 ひらかれた海 第Ⅱ部 1500年~1600年 せめぎあう海 第Ⅲ部 1700年~1800年 すみわける海 としています。各時代の概略を本書から抜き出すと、1250年~1350年は「ユーラシアの東西、そして陸海にまたがる巨大な交流ネットワークをうみだし、遠隔地間の人・モノ・情報の移動がそれまでになく直接的かつ大規模に展開することになった」(92頁)時代、1500年~1600年は「さまざまな商業/軍事勢力の「せめぎあい」のなかから、特に有力な新興勢力が勝ちのこり、それぞれの地域で求心的な支配を確立していくとともに、明朝からの遠心性を強めていく」(159頁)時代、1700年~1800年は「人の往来は外交使節・商人・送還漂着民など公権力の認可をえた存在にしぼりこまれ、また「外国人」との接触・交流の場も、指定された居留地に限定されていた。海上の往来は安定的かつ活発であったが、・・・「内」と「外」が明確に線引きされており、外国人や外来文物との接触機会は局限された」(249頁)時代としています。そして、「時代は暗黙の「すみわけ」の近世から、明確な線が引かれ、それをめぐって各国が争う「分かたれる海」の近代へとうつっていく」(272頁)と締めています。教科書だけではなかなか想像できない歴史のダイナミズムを本書は伝えてくれます。「暗記科目」と揶揄される世界史を乗り越えるためにも、我々高校世界史教員は一度は手に取るべき本であると強く感じた本でした。
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